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20111107

「国策に従え、金を受け取れ」2006年も同じテーブルを囲んで同じ会話が交わされていたハズ

●「超党派で実現を」 辺野古移設で中谷氏、容認派と面談『琉球新報』2011年11月6日。
【東】中谷元自民党政調会長代理(元防衛相)が5日来県し、東村で島袋吉和前名護市長ら普天間飛行場の辺野古移設を容認する地元関係者と面談した。中谷氏は辺野古移設に関し「国際的な約束として超党派で実現しなければならない」とし、「反対する沖縄選出国会議員や県連を政府方針に従わせられずに県民の理解は得られない」と民主党の対応を促した。同席した田中聡沖縄防衛局長も「現行案での早期決着を目指したい」と地元の協力を求めた。
中谷氏は超党派の議員連盟「新世紀の安全保障体制を確立する議員の会」の一員の立場で来県。代表幹事で会合に参加予定だった民主党の前原誠司政調会長は、4日夜の仲井真弘多知事との会談後、5日午前、帰京した。
会合には中谷、島袋両氏のほか、伊集盛久東村長、宮城茂前東村長、経済関係者でつくる「和の会」会員、沖縄防衛局職員ら約40人が参加。会合で中谷氏は、10月に名護市で開かれた北部振興推進・名護大会で島袋氏らが基地と振興策のリンク論を主張したことに「地元に何かしらの恩返しは必要と思う」と理解を示した。
中谷氏は6日まで滞在し、野党系名護市議や久辺3区区長らと面談する。

「国策に従え」という恫喝は、いつも「振興策」というムチ(アメではないことはもうみんな知っている)でやってくる。危うく見落とすところだった記事のこと。
●国頭など3町村 防衛交付金対象『沖縄タイムス』2011年10月21日。
【東京】防衛省は20日までに、関連法に基づく特定防衛施設に米軍北部訓練場(国頭村、東村)と鳥島射爆撃場(久米島町)の2カ所を追加指定する方針を決めた。21日に官報で告示する。追加指定に伴い、両施設が所在する3町村が特定防衛施設周辺整備調整交付金(9条交付金)の支給対象となる。
「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」は、米軍基地や自衛隊施設が周辺地域に与える影響を考慮し、要件に該当する基地を「特定防衛施設」に指定し、所在市町村に9条交付金を支給している。
同省は、同法施行令を改正し、要件対象を拡大。施設所在地でこれまでの「市街地または市街化しつつある所」との限定枠を撤廃したほか、回転翼が離着陸する飛行場などを加えた
2009年の行政刷新会議の事業仕分けで、地元の要望が反映される新たな制度設計が求められたことを受け、財務省と協議してきた。
今回の改正によって、県外では13施設・15市町村を追加指定。交付金対象は全国で73施設・120市町村となる。

さらっと書かれているけれども、以下のようなニュースと併せて読まなければならない。
●ヘリ着陸帯移動要求 高江区方針 「迷惑補償」も『沖縄タイムス』2010年5月14日。
●高江区長、補償案提示 ヘリパッド/公民館建設など 勉強会で防衛局に『沖縄タイムス』2010年6月29日。
●高江区、村に補償案提出 ヘリパッド移設/農業整備など要請『沖縄タイムス』2010年7月21日。

北部訓練場は、これまで「要件に該当」していなかったということ。しかし今後は、「生活環境の整備」と称して「迷惑補償」を行うための予算の根拠が整ったということだ。元東村長の宮城茂氏の応接間で交わされた会話も透けて見えるというもの。まるで「地元」が見返り欲しさに要求しているような形を整えるのが、防衛官僚の十八番の得意技だから。
そういうわけで、次のような記事も忘れないように、いつも心にとめておかなければならない。
●[高江ヘリパッド]県民同士が闘う不条理『沖縄タイムス』2011年2月25日。
「国民同士が戦争をしているのではと思った」。昨年暮れ、東村高江のヘリコプター着陸帯移設をめぐる訴訟の口頭弁論で、酒井良介裁判長が漏らしたコメントだ。
2度反対決議をした高江区は政府に歯向かえないとあきらめ、条件闘争に入った。
見返りは、パイン畑を野生のイノシシの食害から守る猪垣を求めた。ほかは公民館改築、墓地・公園整備、防音装置など。
被害防止策は住宅や学校上空を飛ばない、夜間の飛行禁止、騒音測定の実施と対策、区・村・防衛局の通報・連絡ルートを確立するなどだ。
日本は米軍の運用に口出ししない。そう知りつつ区は苦渋の選択に追い込まれる。
浦さき永仁区長は「(ヘリパッドは)いまも嫌だ。負担軽減のしわ寄せはごめんだが、果てしない闘いはできない」と苦悶(くもん)する。

自治体が当たり前に整備すべきものが、どうして「見返り」や防衛予算による「補償」なのか。村や村議会や県や県議会や民主党県連が、無策のまま放置するならば、それはすでに、このテーブルを囲んだ人たちと共犯関係にあるということではないか。
[11月8日追記:記事には、高江区が条件闘争に入ったと書かれているが、これは区民総会の決定ではない。自治体の細部は、透徹した民主主義の制度的枠組みよりもローカルなコンセンサスを重視するものである、すなわち、条件提示はヘリパッド受入の決定ではないし、高江区の2度の反対決議を覆す決定ではないということだ。代議員の多数決見切り発車など曖昧さを残しつつ政治情勢や発言権のある個人の行動に影響されて揺れるのが区民の動向というもの、これは当然のことだ。だが、防衛局はこうしたグレーゾーンを利用して地域を分断することを戦略的に利用している。それを知りつつ、当局発表に依存して中途半端な情報を提供するマスメディアの「共犯」も問われなければならない。]
[11月10日追記:上記のような背景について丁寧な報道が試みられたひとつの例として、『琉球新報』の以下の記事を記録に残しておきたい。]
●高江ヘリパッド、区が負担減策交渉へ/実現なら建設容認/反対派は拒否姿勢『琉球新報』2010年5月13日。


●「国強行」不安が背景/ヘリパッド建設交渉、区民意志へ配慮必要」『琉球新報』2010年5月13日。


「回転翼が離着陸する飛行場」という追加項目も見逃せない。新聞報道の表現の根拠となった情報源を正確に確かめることができないけれど、MV-22オスプレイを含めることを当然想定していると読める。と、同時に、一時的には「ヘリコプターなどのことです」と責任回避も可能だからだ。なにしろ解釈次第の歪曲はすべて官僚がやってくれる。
「飛行場」という言葉は、今回の追加のうち、北部訓練場と射爆場に関連しているのかどうかも気になる。高江のヘリパッドは、飛行場などの航空施設ではないからという理由で、県のアセス条例から除外されたからだ。

ところで、冒頭の記事に添えられた写真を見て、「あー、またか」と思った人、多いはず。記事の下weblio検査の「関連すると思われる記事」リストに上らないのが残念なカンジなので、以下に転載。

県、月内発足賛同へ 普天間協議機関『琉球新報』2006年8月20日。
【東】来県中の額賀福志郎防衛庁長官は19日、東村宮城の宮城茂村長宅で同村長ら北部10市町村の首長と会談し、米軍普天間飛行場代替施設に関する協議機関の8月中の発足を目指し、政府と北部市町村で県に働き掛けることで合意した。2007年度予算の概算要求が今月末に迫る中、振興策の保証を求める北部自治体と、移設協議を進めたい防衛庁の思惑が一致した。一方の県も「参加に向けた環境は整いつつある」(幹部)と8月中の参加に賛同する構え。発足に向け事態は前進した形だが、代替施設建設をめぐる実質的な論議の行方は不透明だ。
北部振興策をめぐる7月末の政府との調整で2006―07年度にまたがる継続事業が保留となり、地元が危機感を募らせていたことが立ち上げを急ぐ背景にある。県は協議機関参加に向けて、内閣府などとの調整を残すだけだとしている。
この日の東村での会談は、額賀長官と北部市町村長との懇談会という名目で行われた。
会談後、額賀氏は「できるだけ早く協議機関ができるように話し合おうということで意見の一致を見た」と市町村との連携をアピール。「県に対し今日の話の内容を報告したい」と語った。
北部市町村会会長の宮城村長は概算要求の期限が今月末に迫っていることについて「07年度の振興事業を早めに担保したいという要望が(首長から)あった」と強調。「今月いっぱいに立ち上げられるよう県にお願いすることで合意した」と話し、県に働き掛けていく考えを示した。