たいていの人はどちらかしか取っていないから、両方を比較しようと思ったら、「地元紙で識るオキナワ」などが非常に有効だ(画像と同じ記事は「辺野古」見直しなくして何が「再編見直し」かとの怒りに満ちた見出しでまとめられているので必見)。
新報もタイムスも、「グアム移転先行」がトップバナー、その左側に1面2トップ記事として、環境アセスメント評価書について審議会が「環境の保全は不可能だ」と答申したことを配置した。
でも、もう少しよく見ると、両紙の違いは歴然。まずそれはトップの記事の二番目の見出しに現れている。
タイムス→「普天間」と切り離す/米軍再編見直し/嘉手納以南返還も
新報→「辺野古移設は堅持/4月めどに新工程表」
普天間の返還なおかつ嘉手納以南の返還に向けて前進したことを強調するか、依然として辺野古の建設計画が第一に語られているか。両紙の立ち位置の違いをクッキリ示している。それだけでない。ふたつの記事に挟まれて中央に配された記事にも注意を払ってみる。
タイムス→知事「整理・縮小につながる」
新報→県民無視と政府批判/辺野古移設断念訴え稲嶺市長、米で講演
ね。両者の違いクッキリでしょう。この記事を目にする宜野湾市民は選挙の真っ最中だということを忘れてはいけない。
ところで日米共同声明の原文を見ておこう。
"United States-Japan Joint Statement on Defense Posture," February 8, 2012.
全文は元ネタで確認するとして、最初の段落のみ転載してみる。
The United States and Japan are strongly committed to strengthening our robust security alliance, which is dedicated to the security of Japan and to the maintenance of peace and security in the Asia-Pacific region. We remain committed to mitigating the impact of U.S. forces on Okinawa, as well as to the construction of the Futenma Replacement Facility at the Camp Schwab Henoko-saki area and adjacent waters. We believe that the current Futenma Replacement Facility plan is the only viable way forward.
いきなりのっけから、日本の安全保障に「アジア太平洋の安全保障と平和の維持」がセットでくっついてる。その上で、辺野古の基地建設については「あのとき交わした約束は、まだ生きてるからね」って感じでしょうか。
外務省の訳語はここ。
「共同報道発表」
いちおう同じとこを転載してみる。
日本と米国は,日本の安全及びアジア太平洋地域の平和と安全を維持するため,両国の間の強固な安全保障同盟を強化することを強く決意している。両国は,沖縄における米軍の影響を軽減するとともに,普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することに引き続きコミットしている。両国は,普天間飛行場の代替施設に関する現在の計画が,唯一の有効な進め方であると信じている。
「引き続きコミットしている」って。なんちゅう翻訳ですか。がいむしょー。
ちなみにcommitは、罪を犯すときの「犯す」の語としてもよく使われるんだはず。と思った人は沢山いたはずね、外務省内にも。
ところで、別のニュースで「やんばるは宝石です。切り売りしようとする人達の感覚が分かりません」と高江が怒ってる。
「世界自然遺産:環境省、奄美・琉球諸島の登録目指し準備へ」『毎日新聞』毎日jp2012年2月9日12時55分(最終更新2月9日16時51分)。
沖縄本島北部に広がる「やんばる地域」はヤンバルクイナなど貴重な野生動物が生息しているが、広大な米軍の訓練場が存在する。環境省は「訓練場を含めた地域を指定することはありえず、外交ルートでの調整が必要になってくる。環境省としては基地に関わらない部分で準備を進める」と説明している。勝手に切り分けるのはやめてくれないかな、いい加減に。
環境省もまた切り離してコミットする国の役人ってことですか。