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20120928

たかえのために>陳情レポその2

もうひとつ「出したよレポ」届いています。ふーむ。陳情書っていっても、いろんな表現があるものですねー。沖縄BDも提出していると聞いているし、高江のヘリパッドいらないいろんな陳情について、見つけたらこちらでも引き続きご紹介したいと思います。



2012年9月28日

沖縄県議会 議長 喜納 昌春 殿

 「東村高江周辺の北部訓練場で建設中の着陸帯工事を即時中止するよう働きかけ、
この目的のため県民に対して説明責任を果たすことを求める陳情」

  沖縄県議会に対して以下のとおり陳情する。

【1】すべての県民のいのちと暮らしを守る県議会の責務として北部訓練場で建設中の着陸帯工事を即時中止するよう今すぐ働きかけること。 

【2】この目的を踏まえ、沖縄県民が住民自治と市民権を行使してその是非を判断し行動することが出来るよう、以下の各項目について沖縄県に明白で具体的な回答を求め、県民に対して説明責任を果たすこと。 



【項目】 
(1)着陸帯の工事を進めるという県の責任について
 沖縄県は「北部訓練場の過半の返還は負担軽減につながるので、着陸帯建設を進める」と説明してきた。「過半の返還は負担軽減」という句は、SACO合意以来、日本政府とそれを代理する防衛局が沖縄への基地建設押しつけのために用いた表現だが、県はそれを独自の検証なしに沖縄県民、高江区民に対して繰り返しているだけのように見える。
(1)-1 SACO合意にある北部訓練場の着陸帯建設について、沖縄県が拒否することは可能か。もし可能ならばそれはどのような方法か。
(1)-2 大規模な土地の返還が負担軽減であるとの判断と、集落に近接した着陸帯の新設の容認は、常識的にも論理的にも全く別ものであるが、着陸帯の新設は高江区住民にとって負担軽減であると考えるか。どのような根拠を前提にそう考えるのか、具体的に説明せよ。
 (1)-3 建設容認という判断の責任を県は引き受けているか。着陸帯の建設について、沖縄県は、建設容認の責任を果たすことが出来るのか。その責任はどのようにして果たすつもりか。
(1)-4 日本政府は沖縄県が反対しているMV22オスプレイ配備にあたり「安全宣言」を発表しているが、着陸帯建設を進めるにあたり、県は高江区民・沖縄県民に対して「安全宣言」を出せるか。 

(2)汲み上げるべき「地元の意向」について  
 沖縄県は「地元の意向」を受け入れの説明として挙げ、東村村長が容認していることのみを根拠として挙げるが、
(2)-1 村民である高江区の反対決議を黙殺するのはなぜか、理由を明らかにせよ。
(2)-2 影響を受ける大宜見村議会の全会一致の反対決議を「地元の意向」として考慮しないのはなぜか、理由を明らかにせよ。  
 →参考:大宜味村議会「東村高江区のヘリパッド建設に反対し、北部訓練場の無条件返還を求める意見書」(2010年6月10日)
(2)-3 水源地として、また森林・生物多様性資源として北部やんばる地域に依存する沖縄県全体の「地元の」問題として、容認できるか。
(2)-4 さまざまな報道や県民大会の様子からも、県内で高江の着陸帯建設に反対している人びとが大多数であることが判るが、県としてこれらの声を「地元県民の意向」として汲む必要はないと考えるか。その理由はなぜか。
(2)-5 県は着陸帯建設推進の主張について、どのように把握しているのか。建設を進めてよいと認める主張の根拠として、具体的に明らかにせよ。 

(3)「差別ではない」外務省回答について  
外務省は国連差別撤廃委員会に対して、高江の着陸帯建設工事は、住民の理解を得て実施していると文書で回答した。
 →参考:外務省「人種差別撤廃条約第9条、及び人種差別撤廃委員会手続規則第65条に基づく2012年3月9日付け人種差別撤廃委員会からの情報提供要請に対する回答」2012年7月31日。
(3)-1 もっとも立場の弱い区長や一部区民の行動が、国際的な文書のなかで日本政府の正統性の根拠として挙げられ責任を負わされている事実を、県としてはどのように考えるか。
(3)-2 文書で言われている区の要請とはどのような内容であり、それらの要請はどのように処理され、実現したのか、実現されなかったのか、そのことについて県はどのように把握しているのか、詳細を明らかにせよ。
(3)-3 地元へ基地受け容れの判断責任すら強要するこのような日本政府の責任転嫁の姿勢を、県民差別として抗議する考えはないか。 

(4)建設される着陸帯をを含む北部訓練場の着陸帯を使用する訓練形態について
  米軍環境レビュー、日米合同委員会を踏まえて、日本政府が発した「安全宣言」に大きな批判と抗議が上がっている。
 →参考:在日米海兵隊「MV-22の普天間飛行場配備と日本における運用のための環境レビュー最終版」(2012年4月);防衛省・外務省「オスプレイの沖縄配備について」2012年9月19日。
(4)-1 北部訓練場にある設備は滑走路や付帯設備のない着陸帯であり、固定翼モードではなく、ヘリモードへの転換、ヘリモードによる離着陸訓練が実施されることになるが、日本政府の「安全宣言」との関連を、県としてどのように把握しているのか。
(4)-2 米軍環境レビューによれば、建設予定地のひとつで最も集落に近接しているN4地区(現行着陸帯LZ17)は、Terrain Flight (地形飛行あるいは匍匐飛行)訓練ルートの始点となっており、MV22についても使用することが明記されているが、県としてどのように把握しているのか。
(4)-3 MV22と既存のヘリを含む米軍機による北部訓練場での上述のような訓練を容認できるか。出来ないならば、県としてどのように対応するのか。 

(5)環境影響評価の在り方について
  北部訓練場の着陸帯建設については環境アセスメント法および県環境アセスメント条例の適用を受けず、那覇防衛施設局(当時)の実施した法的裏付けのないアセスメントのみで着工に至っている。いっぽう在ハワイイ米軍基地でMV22オスプレイを含む新機種の配備と関連施設の整備にあたって実施されたアセスメントの報告書が公開され、沖縄に対する処遇との落差に批判の声が上がっている。
 →参考:USMC, “Environmental Impact Statement for the Basing of MV-22 and H-1 Aircraft in Support of III Marine Ecpeditionary Force Elements in Hawai'I,” June 5, 2012.
(5)-1 県は着陸帯建設についてアセスメント条例の適用から除外することを容認しているが、環境アセスメントの理念に照らして、必要ないと判断するか。現時点での認識を改めて問う。
(5)-2 絶滅危惧種のノグチゲラ、ヤンバルクイナ等の生息が確認されている森に、無障害地帯を含めて直径75メートルに及ぶ規模の着陸帯を複数建設することは、着陸帯の点のみではく、飛行ルートや実施される訓練形態と規模を想定してもなお、条例アセスの対象ではないと判断するか。改めて問う。
(5)-3 国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種・天然記念物に多大なインパクトを与えると勧告していることに対し、県として条例アセスを実施する責任はないか。
(5)-4 県が安全性を認めていないMV22オスプレイが使用することが明らかとなった現在も、条例アセスは必要ないと判断するか。
(5)-5 ハワイイについて公開された環境影響報告書では、動植物の生態環境だけでなく、文化・歴史的環境についても詳細に対応しており、沖縄の北部訓練場着陸帯建設で実施された根拠法令に基づかないアセスメントと比較して、落差が際立っているが、県としてどう受けとめているか、
(5)-6 ハワイイで住民が保護されているものと同等以上の権利保護を、県として日米両政府に求める必要はないか。
(5)-7 ハワイイではMV22単体だけではなく、現行機種との総合訓練も影響評価の対象となっているが、北部訓練場について同様のアセスメントを実施する必要はないか。
(5)-8 北部訓練場着陸帯建設について実施された根拠法令に基づかないアセスメントは、日米で定めた在日米軍の日本環境管理基準(JEGS)に照らして、県としてどのように判断しているか。 

(6)MV22オスプレイ配備に反対するが使用設備の建設を推進する矛盾について
(6)-1 MV22オスプレイ配備に反対するため、県が取り得る具体的な方法とはなにか。
(6)-2 MV22オスプレイの使用が前提とされる米軍基地施設の新設に対する非協力は自治体として可能な配備反対の方法と考えるか。
(6)-3 MV22オスプレイ配備が公式に発表されたことを受けて、使用する米軍施設とその建設に関する容認・同意・認可を見直し、再検討するため現在進行中の工事を差し止める必要はないか。 

(7)建設工事の暴力的な強行について 
(7)-1 深夜・早朝の工事強行を県は容認するか。
(7)-2 MV22オスプレイ配備が公になった後も住民への説明のないまま工事が強行されていることを県は容認するか。
(7)-3 住民に隠して住民を騙して作業を強行している工事について、県としてどのように把握しているか。その公共性・正統性について県としてどう考えるか。
(7)-4 5年以上に及ぶ抗議と説得を続けている住民に対して、県はどう考えているか。その住民感情・住民の思いに、県としてどのように応えるつもりか。

  全県を挙げてMV22オスプレイ配備反対を主張しているなか、高江の着陸帯建設だけは容認するという姿勢を取り続けていることの矛盾は、これ以上看過することが出来ない。ここに挙げた項目の全ては、この矛盾した状態について県民として抱いている率直な疑念であり、県と県議会は県民の疑念に答える義務がある。
  沖縄島北部地域へこれ以上の負担強要を認めず、21世紀の時代にそぐわない海兵隊の訓練場閉鎖に向けて取り組むことが、政治の権限を委託された者として当然の職責である。そのための最初の一歩を踏み出すよう、選挙によって県民の代表たる信を得た議員諸氏がその職責を果たし勇断されることを、強く求めるものである。