さて、高江はこんなに素晴らしい自然の宝庫である、と主張するためのイラストレーションにさっそく失敗してしまったわけですが。本題。高江を守れ!と知事選挙の候補者に公約してもらおうという要請アクション。住民の会の皆さんの気迫のこもる要請文が、blogにアップされたようです。そしてそして、ハガキ版も登場しましたね。週末は、これを沢山プリントして、人の集まるところに持って行って、その場で書いて貰って投函!というのに使えそう。
さて。さて。合意してない面々も、各自で各地からアクションしたよーとの報告あり。約束を取り付けもしないで後から騙されたなんて言いたくないからね。ピープルは政党の駆け引きやゲームとは違う倫理と政治を実践するのだ。
辺野古の埋立承認は撤回。
高江の着陸帯工事は中止。
二大公約ってことで、夜露死苦したいぜ!
「北部訓練場で建設中の着陸帯工事を即時中止し、建設を認めないと公約して下さい」の要請例
北部訓練場の一部面積返還の条件としてヘリコプター着陸帯移設が決定されたのは、現在の辺野古基地建設の発端となったのと同じSACO合意でのことです。その後の経過に明らかなように、「負担軽減」の虚偽、オスプレイ配備の隠蔽、亜熱帯の生物多様性の深刻な破壊、困窮する自治体財政につけ込んだ地元への受入要請と住民の分断など、名護市辺野古と同じことが、東村高江でも起こっています。
抗議する県民を弾圧し萎縮させることを目的に国が裁判を悪用するSLAPP訴訟という手法が用いられた点、計画された4地区6個のうち、1地区2個の着陸帯がすでに完成しオスプレイ訓練のための「先行提供」が囁かれている点で、高江は、より緊急な政治的判断を必要としている場所であるとも言えます。
辺野古の基地建設に反対する多くの県民は、北部訓練場の着陸帯建設にも同じく反対し、着陸帯の押し付けを許さないと非暴力直接行動で座り込む高江の住民を強く支持しています。なぜなら、それこそが論理的に一貫し矛盾のない態度であるからです。施政権返還を目前に控えた1970年代末の実弾演習阻止のときも、1980年代に当時の最新鋭機と言われたハリアーの着陸帯建設を阻止したときも、やんばるの森を守ったのは、保革や政治思想の違いを超えて立ち向かったこの島の先輩たちの強い意志でした。このような自決権の行使の歴史もまた、生物多様性と同様に守り育てるべき沖縄の財産です。今日、今度は私たちが共にやんばるの森を守ることで、この沖縄のじんぶんを未来の世代に受け継ぎましょう。
県知事選挙において、辺野古の基地建設を認めず、オスプレイの配備に反対するのと同じ論理で、北部訓練場の着陸帯建設にも反対する、沖縄のじんぶんに照らして曇り無く筋の通った公約を掲げる候補者に対して、私たちの大切な一票を投じたいと願っています。
【沖縄県知事に可能なこととして、例えば以下のようなことが考えられます】
(1)着陸帯の工事に関する県の判断責任の行使
沖縄県はこれまで「北部訓練場の過半の返還は負担軽減につながるので、着陸帯建設を進める」と説明してきました。「過半の返還は負担軽減」という認識は、SACO合意以来、日本政府と防衛局が沖縄への基地建設押しつけのために用いた表現でした。沖縄県としてこの認識を改め、押し付けられた合意を、独自の検証によって再評価することが出来ます。
日本政府は、「地元の合意」を根拠に正当性を主張している[1]のであり、沖縄県としての判断を表明することは、自治体としての責任の行使となるからです。また、少なくとも、高江区の反対決議、大宜見村議会の全会一致の反対決議「東村高江区のヘリパッド建設に反対し、北部訓練場の無条件返還を求める意見書」(2010年6月10日)が存在しています。
これ以上のだれが、「地元」の声を代表すべきなのでしょうか。水源地、森林・生物多様性資源として、沖縄島全域、沖縄県全体が、北部やんばる地域に依存しているのであり、沖縄県レベルでの判断責任があり、これを行使すべきことは言を俟たないでしょう。
(2)MV22オスプレイ配備に反対するが使用設備の建設を推進する矛盾の解消
MV22オスプレイが、全県を挙げた反対にも拘わらず強行配備されました。オスプレイに反対しながら、その設備を容認するのは矛盾であり、これは解消されなければなりません。同機が使用する米軍施設とその建設に関する容認・同意・認可を見直し、再検討するため現在進行中の工事を差し止めるよう行動するのは、当然の帰結となります。
米海兵隊が実施した環境レビュー[2]によれば、最も集落に近接しているN4地区(現在すでにある大規模着陸帯LZ17に重なり、建設工事が完了した二つの着陸帯)は、Terrain Flight (地形飛行あるいは匍匐飛行)訓練ルートの拠点となっており、MV22についても使用することが明記されています。複数機のMV22、また既存のヘリを含む米軍機との複合的な訓練など、北部訓練場での訓練の激化については、沖縄県としてこれに介入する責任があります。
(3)環境影響評価の在り方について
北部訓練場の着陸帯建設については、環境アセスメント法および県環境アセスメント条例の適用を受けず、那覇防衛施設局(当時)が実施した法的裏付けのないアセスメントのみで着工に至ったものです。
これに対して、例えば在ハワイイ米軍基地ではMV22オスプレイを含む新機種の配備と関連施設の整備にあたって実施されたアセスメントの報告書が公開されており、報道で紹介され、沖縄に対する処遇との落差に批判の声が上がったことは記憶に新しいところです[3]。ハワイイでは、動植物の生態環境だけでなく、文化・歴史的環境についても詳細に検証しており、MV22単体だけではなく、現行機種との総合訓練も影響評価の対象となっています。沖縄の北部訓練場着陸帯建設で実施された根拠法令に基づかないアセスメントと比較して、その落差は際立っていると言えます。北部訓練場の着陸帯については、日米で定めた在日米軍の日本環境管理基準(JEGS)に照らして、アセスメントの是非が評価された形跡もないままです。
沖縄県は着陸帯建設についてアセスメント条例の適用から除外することを容認しましたが、これには瑕疵があった、ないしは、その後の諸事情に鑑みてこれを見直すべきであると判断し、最低限でも県条例アセスメントを実施するよう決定することが出来ます。その根拠として、例えば以下のような観点が挙げられます。
・絶滅危惧種のノグチゲラ、ヤンバルクイナ、ホントウアカヒゲ等の生息が確認されている森に、無障害地帯を含めて直径75メートルに及ぶ規模の着陸帯を複数建設することは、着陸帯を点として見なすのではく、飛行ルートや実施される訓練形態と規模を想定した面として捉えて、アセスメントの要否を判断するべきであった。
・特に、世界自然遺産候補地選定にイニシアティブを持つ国際自然保護連合(IUCN)が、この着陸帯建設計画は絶滅危惧種・天然記念物に多大なインパクトを与えると勧告していることに対し、県として条例アセスを実施する責任があった。
・N1予定地地区の工事用道路、G予定地地区から宇嘉川河口に至る歩行訓練ルートは、防衛局の自主アセスの終了後になって追加された、いわゆる「後出し」の計画であり、これは環境アセスメントの手順に違反している。
・MV22オスプレイの配備と運用が隠され、評価の対象になっていない。
・工事に際して赤土の流出管理が適切に行われていない点が大きな問題となった。
(4)建設工事の暴力的な強行について
座り込み住民の裏をかく目的で深夜・早朝・週休日に作業を強行したり、抗議する市民を危険に晒す工事強行に作業員を駆り立てたりするような工事の、その公共性・正統性・労働安全基準については、県として建設業者の管理監督責任があります。
沖縄島北部地域へこれ以上の負担強要を認めず、21世紀の時代にそぐわない海兵隊のジャングル戦闘訓練場は、無条件の閉鎖に向けて取り組むことが、県知事としての職責であると考えます。ぜひ、本件について真摯に検討して頂き、公約に掲げて、県民の信託を受けて頂きたいと考え、ここに要請いたします。
[1] 外務省「人種差別撤廃条約第9条、及び人種差別撤廃委員会手続規則第65条に基づく2012年3月9日付け人種差別撤廃委員会からの情報提供要請に対する回答」2012年7月31日。
[2] 在日米海兵隊「MV-22の普天間飛行場配備と日本における運用のための環境レビュー最終版」(2012年4月);防衛省・外務省「オスプレイの沖縄配備について」2012年9月19日。
[3] 参考:USMC, “Environmental Impact Statement for the Basing of MV-22 and
H-1 Aircraft in Support of III Marine Ecpeditionary Force Elements in Hawai'i,”
June 5, 2012.