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20160917

もう「やんばる国」がいいんじゃないか

 2016年9月15日、やんばる国立公園制定が発表された。
 日本司法の歴史に汚点を残す辺野古の判決を翌日に控えて、そして高江と辺野古で海と森を真実守っている市民が弾圧されているのを知りながら、いったいどんな感性で「お目出度う」と言うことが出来たのだろう、と思う。タイムスの報道写真を見ると、ちゃっかりセンターにポジション取りしているのは、米軍のために自らの選挙基盤であるやんばるの海と森を破壊する計画に賛成したため地元選挙区で落選、比例復活した国会議員。農道の使用は身体を張ってでも阻止すると言ったのに、歩いて入るのはいいよとかいう矛盾の人、N1・G・Hのヘリパッドと付帯道路工事で村境の森を切り捨て、林道と皆伐で切り刻む山のゾーニングが成功して嬉しそうな人が、その両脇を固めている。ささくれた心では、もうそんな風にしか見ることが出来ない無残な写真だ。

20160914

人びとが動き出している、人びとに続こう

人びとが、どんどん、動き出している。
 高江住民は「県議会にしかできない仕事をして欲しい」との要請を行った。
●<米軍ヘリパッド>高江の母親ら「住民の声聞いて」 沖縄県議会に要請『沖縄タイムス』2016年9月11日 13:21。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/61641

 沖縄平和市民連絡会は県議会に「東村高江における派遣機動隊による過剰警備・大弾圧を止めさせるための陳情」を提出した。その元になった資料についての報道は以下。
●北部着陸帯警備 沖縄県警、県外機動隊の燃料や高速代負担『琉球新報』2016年9月10日 05:04
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-354233.html

座り込み現場と生活を往復しつつの訴えだ。
そして現場は、人びとの想像力に満ちている
バスが、市民車が、希望を運ぼうと参加者を待っている
次の旅に向けて、出発の準備はできたかい?
ひとりひとりが根を持つ、具体的な行動で、高江の工事を止めよう。
機動隊が道を寸断し、自衛隊のヘリが頭上を飛んだとしても。
抗議し阻止する私たちの希望に対して具体的なことは何もできないのだから。
動き出している人びとに、連なろう。
人びとに続こう。

 ダコタ・アクセス・パイプラインに関連して、デモクラシーNOW!のエイミー・グッドマンに「不法侵入」で逮捕状が出たという。原因となったのは、聖地破壊に抗議する人びとに対し民間警備員が犬をけしかける様子、噛まれて怪我をした人、ペッパースプレーを浴びせられた人などを実況したデモクラシーNOW!の放送。SNSや大手マスコミもこの記録を活用して、事態を広く伝えることに貢献したものだっただけに、報道の自由に対する弾圧だと怒りの声が上がっている。この時のフッテージは、日本語字幕付きで視聴することができる。mu-nuclear-free.comさんによる翻訳字幕作業有り難う!もちろんDN!Japanもいつも有り難う



 mu-nuclear-free.comさんによるもう一つの日本語字幕による紹介も取り上げたい。
ローレンス・オドネルのニュースコメンタリ番組「ザ・ラスト・ワード」で8月25日に放送されたもの。パイプライン問題を通して植民地主義を厳しく批判している。





人びとは、草、民衆であり、市民と呼ばれた。シニシズムに折れないし、動くことをやめない。不安になるときは、横に開き縦につながろう。縦の時間軸でつながるのに相応しい、過去を振り返るための良書を携えて、現場に向かってみて下さい。

 かつて小田実は、ベトナム反戦運動の担い手である「市民」を指して、「チョボチョボの市民」と呼んだ。小田はそうした「チョボチョボ」の存在が一人一人集まり、創意を凝らして戦争に反対するのが「市民運動」であると説いたわけだが、その「チョボチョボの市民」こそ、ほかならぬ「ふつうの市民」なのであった。ここで成立していた「ふつうの市民」と「運動」との間の連関は、いつの間にか断ち切られてしまい、右に見たような表象の転移が一部で生じているということを認識しなければならない。たしかに「市民」を名乗りつつ運動者を排除する動きは、「水俣病」の名称の廃止を訴えたり、患者たちを「ニセ患者」と呼んだ水俣の「市民」の例にとどまらず、多数の前例(ただし局地的な)があるわけだが、いまや社会全域をこのような反「運動」ポピュリズムが席巻し始めていることに注意が必要である。とりわけこの現象が加速的に進行しているインターネットの匿名掲示板などでは、運動に携わる市民を「プロ市民」と呼び、揶揄の対象として拝外意識が煽られているのである。
 こうした風潮の一端があらわれたものと私が考えるのが、2004年4月にイラクで起きた、NGO活動家の「人質」事件である。詳しくは『占領と平和』第2部第6章を参照していただきたいが、ここでメディアによって撒き散らされた「自作自演」論は、活動家と「フツー」の人々を切り離し、「そんなことやっている(「フツーでない」)人間は○○されてあたりまえだ」という排除の「自己責任論」として展開された。ここには、自立した人間の存在を理想とする啓蒙主義的な「市民」言説があるわけでもなく、ただ「フツーでない」人物像を作り上げておいて「甘え」「自己満足」といった負のレッテルを貼るためだけに「自立」が説かれている。この「自立」の語の限定と矮小化は、ネオリベラリズムの下での「自立支援」などという語法と同様の問題をはらんでいるといえるだろう。
 いまや、単になにもしないだけでなく、何か運動をしている人々を「反日分子」呼ばわりし、自らはあたかも「無色」であるかのように欺瞞して、他者の足を引っ張ることに快楽を見出すシニシストたちが、「ふつうの市民」の語の所有権を主張しているという現実がここには存在している。
道場親信『抵抗の同時代史:軍事化とネオリベラリズムに抗して』人文書院2008年、208-210ページ。

道場親信『占領と平和:<戦後>という経験』青土社2005年。
道場親信『抵抗の同時代史:軍事化とネオリベラリズムに抗して』人文書院2008年。

R.I.P.

20160913

高江ヘリパッド>エセアセス「検討図書」の検討から

 高江ヘリパッド>エセアセス>検討図書について素人ながらの検討してみます。
 現場で作業を止めることの正しさを、環境アセスメントの非専門家が、アセスという制度の面から裏付けることを目的としています。専門家は自分の専門世界のなかに生きているので、制度や手続きが整っているように見えれば「問題ない」と結論付けてしまいがち。しかし、生活者の視点から見れば、それは正義とは呼べない事態がしばしば起こります。権力を持つ国が、制度を悪用するような時がそれです。

  もくじ
 (1)そもそもアセスがない
 (2)世にも奇妙な「検討図書」
 (3)作業ヤードの亡霊
 (4)モノレールと山道
 (5)準拠するの?しないの?:ダブスタその1
 (6)影響あるの?ないの?:ダブスタその2

(1)そもそもアセスがない

まず第一に、そもそも論から。アセス対象でないことが、そもそもの間違いの元。これについては、エセアセスについてまとめたこれまでの記事も参照されたい。嘘の上に嘘を塗り固めて・・・という表現があるが、エセの上にエセを重ねると、ホンモノらしさや誠実さを目指すのではなく、むしろ、ただただそこから遠ざかっていくだけの行為となるようなのだ。エントロピー増大するいっぽうという、キミらはアセスのビッグバンかと言いたい。
 オスプレイの配備に係っては、同じ時期にハワイイを含む米国内でのアセス事例との落差が際立っていたことを、すでに地元紙が取り上げて比較検証してきた。仲井真県政当時に確定したのは、「ヘリパッド、いわゆる接地帯のみの移設事業とされていることから」条例アセスの対象事業ではない、そして米軍の運用は建設工事のアセスと関係ない、という態度方針だった。こんなことはもう通用しないだろう。
 現在、N4先行提供が、結果として重大な被害を招いた事実は、充分に想定可能だったし、現にそれを想定して、住民は反対運動を闘ってきたのだ。その人びとの付託を受けたならば、N1、G、Hについては待ったなしの即効性ある対応、県民の命と安全を優先する対応をするのが、政治の仕事ではないか。そして県政に可能な手段のひとつが県条例アセスの適用であることは言を俟たない。

(2)世にも奇妙な「検討図書」

そのあまりの破天荒振りに、怒りの鉄拳をも通り越して、関係者を黙らせてしまっているのではないかと思われる。「検討図書」のことだ。2016年7月にオキボが沖縄県に提出したという文書については、すでに地元紙が問題点について報道している。
・<沖縄・高江ヘリパッド>3地区同時工事で運搬車4倍に/1日124大、森への影響避けられず『沖縄タイムス』2016年8月27日 05:00。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/59337
・「高江ヘリパッド工事モノレール1.2キロ/防衛局、資材搬入で検討」『琉球新報』2016年8月12日 11:34。
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-334538.html

 何しろ、準拠してきたはずの法にも基づかない。「環境影響評価検討図書」などという規定はどこにもない全くの創作物。対話を積み上げて完成提出した「評価図書」の後に「検討図書」とは。さすがSLAPPをやってのける省だけあって、制度を空手形とでっちあげで振り回すのもお茶の子さいさいか。法の趣旨の達成を目的としない制度の悪用にも、SLAPPみたいな命名が必要だと痛感する。「民衆の参加と監視を疎外する矛盾だらけのアセス破壊」Contradicting Assessment Ruining Against Public Participation and Observation=CARAPPO(カラッポ)みたいなの、誰かいいの思い付きませんか。
 はっ。
 つまらぬことに時間を割いてしまった。。。これも基地被害か。

 閑話休題。根拠がないものだから、オキボはこの文書の冒頭にこんな文章を掲げている。

【本資料の位置づけ】 本事業は、沖縄県環境影響評価条例の適用外であるが、沖縄県北部地域(ヤンバ ル)の自然環境の保全に最大限配慮するとの観点から自主的判断によって、同条例に準じて手続きを実施した。今回、本事業を施工している途中であるが、残余部分 の施工にあたり、施工計画の変更を行う予定であり、この内容については、本来であれば、事後調査を行うことで調査・検討すべきと考えるが、自然環境の保全の観点から、事前に説明を行うこととした。この資料は、その説明のために作成したものである。(1−1ページ)下線強調は引用者による。

 そもそもに立ち戻って、アセス条例対象外にしたのは間違いだったとすべきことは何度も繰り返して確認したいが、しかし過去に戻らずとも、現時点に立った判断は充分に可能だ。可能だと説明する口が恥ずかしくなるくらい当然のことではないか。エセだった当初からしても全く想定外の工事作業内容が増大しているのだ。唖然とするような追加工事作業は主に次の3点にある。

 ・作業ヤード
 ・モノレール
 ・資材のヘリ空輸

 エセアセスの時点で、すでにN1作業道、宇嘉川河口とGをつなぐ歩行ルートは後出しだったと、指摘し続けてきた。だが、もはや後出しどころではない、住民説明会の内容からもかけ離れた工事に変わり果てたのである。これを「本来であれば事後調査」でいいもの、などと必要もない強弁までするのは、改変と呼べる程度を逸脱していることを自覚しているからなのだろう。
 すでに新聞報道で、3地区同時工事による環境負荷の激増、ヘリ輸送については報道等で指摘されているので、以下では、「作業ヤード」と「モノレール」について、まだ指摘されていないようだが重要と思われる点を取り上げたい。

(3)作業ヤードの亡霊


始めにG地区進入路始点 部の急傾斜地において、重機進入に必要な最小限度の盛土工事を行うため、当該盛土に必要な土砂(約 1,600m3)を作業ヤードより採取することとした。 H地区付近には、過去に海水揚水発電所の建設に伴い残土置場として使用された改変済みの用地(約 5,200m2[約130m×約 40m])が存在する。事前調査によれば、当該用地は、残土が残されたままの状態で、主にススキ等が生育している土地で、樹木の生育が確認されていないことから、当該用地を作業ヤードとして使用することで、自然環境に対する大きな負荷を伴うことはない。(2−19ページ)

 サラりと書いてある重大な内容に驚愕した。今回の戒厳令で機動隊に封鎖された後、淋しく営業終了してしまったあの「やんばる海水揚水発電所」建設当時の亡霊が飛び出したからだ。この奇天烈「検討図書」には、作業ヤード予定地の航空写真まで添えられているが、もこもことしたブロッコリーのやんばるの森に40m×130mのハゲた長方形がある!揚水発電所が試運転を開始したのが99年だから、少なくとも10数年以上も放置されていたのに、そこにはススキしか生えていないというのだ。環境の負荷がないどころの話では済まない。防衛局は「残土置場」の放置という過去の亡霊、寝た子を起こしてしまったのではないか。
背景を知らない人には見過ごされるだろう。亡霊なんて大袈裟と思われるかも知れない。だが、ヘリパッド座り込みに参加して、在りし日の(涙)揚水発電所の八角形の貯水池を見学した人は多い。貯水池を見渡す展望台から振り返ると、高江校の子供たちが卒業の記念植樹をしていた場所があったのをご記憶の方も多いと思う。
 あの一帯は、発電所建設事業の一環として行われた、残土の自然回復の試験地だった。研究者らも関わったその試みは、事後も経年観察され、高く評価されてきたはずだ。「土木ウォッチング」というサイトに、J-POWER仲田貞夫氏によって投稿されたやんばる揚水発電所の自然回復の試みの記事を読むことができる。財団法人新エネルギー財団のサイトには、さらに詳細のプロジェクト報告が上がっている。「従来の土捨場に対する概念を超えて、野生生物(鳥、昆虫、植物等)が共存共生できる生態系を持てるような環境を創成する場所(ビオトープ)として土捨場を位置づけた」と評価し、「成功」と結論付ける内容だ。この建設を請け負った国場組のサイトには「土木技術学会賞」を受賞したことが記録されている。

 ハゲた長方形の話はどこにも出てこない。

 これはつまり、90年代の発電所建設で問題となった土捨場が、訓練場の中にあるという理由で放置されていたという事ではないだろうか。あるいは、放置する目的で訓練場の中を使用したという見方も出来るのではないか。そしていかに残土とはいえ、15年間経過しても木が生えない土壌とは何なのか。このように書けば、N4ヘリパッド向かいの赤土が表土に剥き出しになった場所を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。「米軍基地跡地」、「埋めた」、とくれば、あのサッカー場ドラム缶事件のことを、ついつい思いだしてしまうピリピリ体質を持つ沖縄の私たちは、これを土壌・水質調査の必要なしと片付けることはもうできない。
 土砂は産業廃棄物のグレーゾーンにあって、再利用や埋め戻しには環境への厳正な対応が求められる。生物多様性の貴重なやんばるにおいては最重要課題のはず。「土捨場」が既成概念を覆すビオトープになったと持ち上げる、そのすぐ側に「残土置場」というハゲた長方形が放置されていた。この作業ヤードは、その対応逃れの発覚であり、さらに土砂を使い回す、マネーロンダリングならぬ土砂ロンダリングの可能性すらある。作業員の健康に対するリスク、盛土に再利用しようとしているG地区への影響など、事前に調査する必要がある。
 あとひとつ、これはとても素朴すぎる素人考えかもしれないが、そこに「改変済みの用地」130m×40mがあるのに、なぜわざわざ近くの森を伐採して直径75mのヘリパッドHを増設する計画にしたのか、という疑問も、付け加えておきたい。

(4)モノレールと山道

奇天烈「検討図書」によると、資材搬入のための「モノレール」を設置するという。抗議する住民に向き合わず、裏をかいて工事を進めようとする、その搬入方法をめぐる問題点は厳しく追及すべきだが、環境アセス的にはどうだろうか。奇天烈「検討図書」によれば、全長5mの台車を走らせる70 cm 幅の1.2kmのモノレールを通す計画で、5センチの単管2組を1.2メートル毎に杭打ちし、「環境を改変しない」そうなのだ。1日4往復程度を予定していて、排気ガスなどの影響も小さいそうなのだ。
 環境を改変するかどうかを評価決定するのは、防衛局ではない。現に、県環境影響評価審査会会長も懸念を表明している。
 「検討図書」には敷設予定の地図が付されており『沖縄タイムス』報道がこれを略図にして掲載している。地図を見ると、モノレールはN1予定地とN1裏との中間くらいの地点を起点とし、H予定地までとなっている。つまり、山道の途中から突如始まり、新たに設けようとしている作業ヤードにも届いていない。
もちろんモノレールを敷設することが目的ではないだろう。「検討図書」には「モノレールによる人員・資材等の輸送」とある。資材の輸送という点では、始点と終点で、その資材の積み降ろしが必要なはずで、作業ヤードとバラバラに敷設するほどの非合理はないだろう。また待機場所が確保されていなければ作業は危険も伴うだろう。
 これとは別に、ヘリによる空輸が、すでに始まっており、このモノレールは、「人員」つまり作業員が道を使わずにワープ(!)することだけが目的じゃないかと思ったりする。まさに「住民に向き合わず裏を掻く」のが目的のモノレール敷設と言ってよい。
 また、資材運搬用モノレールを設置することができるなら、なぜN1作業道が必要なのかという素朴ちゃ〜んな疑問も湧く。N1道は「必要」なのだ。多分。完成後にこれを訓練に使う米軍にとって。
 ということで、このモノレールは、N1作業道と別々の事業ではない。N1作業道の途中を始点としており、モノレールを利用するにはN1作業道の利用が避けられない。何度も繰り返すがN1作業道はエセアセスすらされていない。それどころか、今回のヘリ空輸作戦に関連して「検討図書」にはサラッと「資材置場」という文字がN1ゲート地点に書かれている。機動隊を大規模動員して暴力と戒厳令の下に作った資材置場は、もはや、既存のもの扱いになってしまっている。「木を一本も切らない」「今ある山道を使う」といって森を寸断しつつあるN1作業道と、このモノレールは、個別の工事に切り刻んでばらばらに申請し環境アセスの適用除外を狙ったアセス逃れの典型として厳しく監視しなければならないのではないか。

 参考まで、沖縄県条例アセスのあらましは以下で確認できる。
http://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/seisaku/hyoka/documents/kankyoueikyou-pamphlet.pdf
 これによると、「林道」は一般地域、特別配慮地域とも、幅員4m以上、距離2km以上が県条例アセスの対象である。「モノレール」については、一般地域で5km、特別配慮地域2.5km以上が県条例アセスの対象となる。「特別配慮地域」とは、国立公園特別地域等の自然環境保全上、特に配慮が必要な地域をいう、とある。
 作業道とモノレールを合わせただけでも、新たに出て来た工事は、エセアセスの修正とは言えず、世界遺産登録を目指すほどの特に配慮が必要な森において、県条例アセスとすべき充分な規模ではないか。

(5)準拠するの?しないの?ダブルスタンダードその1

もはやお馴染みになっていると思うエセアセスを、今更、「問題点」と指摘するのも疎ましいが、「自主アセス」と言って県条例に準拠するとしておきながら、今回の奇妙な「検討図書」の提出は、「へ?」とアセスの専門家が思わず気抜けの声を漏らすほどの独創性の高い文書として登場した。このことをどう考えたらいいのだろう。
 現在、沖縄防衛局は、沖縄県環境影響評価審査会に案件を持っており、それは
沖縄県環境影響評価条例に基づく手続きの情報からも確認できる。
http://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/seisaku/hyoka/tetsuzuki/joho-jourei.html

「条例の手続きに準じて事業者が自主的に環境影響評価を実施する事業の手続きの状況」と、わざわざ別枠が設けられ、ここに「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)」がある。
http://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/seisaku/hyoka/tetsuzuki/jishu-2.html

 まだ終わっていないのに「事後報告」の段階なのは、N4の先行提供事件があるからだ。そして、事後報告中なのに、「変更」があると届け出たということらしい。やんばるの自然林を60本切って事後報告したらお咎めなし、追加伐採の許可すら得てしまうという事件もあったけれど。この文書も、そもそも「本来なら事後調査でいい」が出してやったという態度で提出されている。
 ここにはエセアセスの本質的な問題が表出している。自分たちの都合で勝手に解釈することは「準拠」とも呼べないし、法令遵守にはほど遠い。そして、エセを放置した結果として次々と同種の問題が引き続いているのだ。
 そのあまりの独創性に狼狽えていてはいけないのであり、ダブルスタンダードが明確になった証拠文書として捉える必要がある。これまで培われて来た環境アセスの倫理価値を著しく損なう振る舞いなのであり、厳しく指弾すべきものだ。問題は、だれが、いつ、これを食い止めるのか、に懸かっている。

(6)影響あるの?ないの?ダブルスタンダードその2

少し違う角度から、この状況を眺めて見よう。「防衛省特定防衛施設周辺整備調整交付金」という、長い名前の交付金がある。防衛省のサイトによれば次のように説明されている。

ジェット機が離着陸する飛行場や砲撃などが行われる演習場等については、特にその周辺の生活環境や地域開発に影響を受けている市町村があります。
 それらの市町村には、交通・レクリエーション・社会福祉施設等の公共用施設の整備に使用できる交付金を交付しています。

 北部訓練場は、2011年になってようやく、この特定防衛施設の対象として指定された。つまり、訓練場を擁する国頭村と東村は、この交付金を受け取る対象市町村に当初から含まれていたわけではなく、遅れて加わった村である。ちなみに大宜味村も後背山間部で訓練場に接している周辺市町村と言えるけれども対象指定されていない。このことから、指定の根拠を我田引水的に推察してみる。すなわち東・国頭両村が指定された根拠として重大視されたのは、訓練場内にある航空施設「ヘリパッド」の存在だ、と考えてみることだ。

 沖縄県「沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)平成28年3月」の関連する部分を見て見よう。
沖縄県「沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)平成28年3月」
http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/toukei.html

>2. 基地と経済・財政、3 基地関係予算・事業(PDF:2,896KB)
http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/documents/h28toukei07.pdf

 この資料でも、北部訓練場のある国頭村と東村は、他市町村から遅れて2011年(H23年)から調整交付金が始まっていることが確認できるだろう。また、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」の第9条に定められているので別名「9条交付金」とも呼ばれるこの交付金は、使途を公表するという条項が設けられているので、Webを検索すれば、いろいろな市町村が公開している交付金の報告を見ることができる。東村はここで公表している。何年度にどれほどの金額を受けどれほど支出して実施したのか判らない報告で、ちょっとアレなんですけど。。。
 北部訓練場が対象市町村になったときのことは過去に少しだけまとめてある。このあたりの経緯やカネの話は得意じゃないので(もとい、また別の重要な話題なので)、ここでは置く(だれかきっと追求してくれているハズと信じる)。
 法律世界の観点から、県の環境アセスメント条例と、防衛省の交付金は全く異なる立法だからと言われればそれまでだけれど。政治の立場に立てば、本当にそれでいいのか、と問いたい。北部訓練場に接した暮らしに及ぼす被害への対応という根っ子のところは同じはずだからだ。
 北部訓練場という同じ軍事施設について、一方では環境に及ぼす影響なしと言い、他方では重大な影響を及ぼすと言うのは、矛盾ではないか?
 なぜダブルスタンダードがまかり通るのか。そう問いなおす価値はある。いや、そのように問いを整理し直して追求することこそ政治の仕事ではないだろうか。
 時系列から言えば、条例アセスは必要ないと、当時の仲井真県政が判断したのは2006年。北部訓練場が防衛省の特定防衛施設の対象となったのは2011年。2011年になってようやく、北部訓練場は、特別な補助が必要なほど施設の及ぼす影響が甚大であると判断が更新されたのだ。そう考えれば、世界的に重要な生物多様性のやんばるの森で、甚大な影響を及ぼす施設の工事についても、沖縄県はもはや判断を更新すべき時ではないか。今回、大きく工事作業の内容を変更して提出された奇妙な「評価検討図書」に対して、県は、改めて条例アセスメントの必要ありと、判断を更新すべき根拠を、こんな風に求めることも出来る。
 ということで、ぜひ専門家の皆さんは、ここで暮らす人びとの視点に立って「検討図書」を検討して欲しい。そして、あらゆる手を尽くして森を守る政治を、翁長県政と沖縄県議会に強く求めたいと思う。

20160910

高江のためにできること>横に開く、過去を継承する

アメリカでは現在、「ダコタ・アクセス・パイプライン」の敷設工事が先住民部族スタンディングロック・スーの聖地を破壊する行為に及んでおり、敢然と立ち向かって行われる工事阻止の行動に、100を越える部族がかつてないと言われる団結で行動した。さらに環境正義団体、ハリウッドスターから大学生、#BlackLivesMatterから反戦同盟(War Resister League)等々、多様に結集点を築き上げ、声を挙げてきた(#NODAPL)。
 今日、連邦地裁が工事差止め請求を棄却した、その直後に司法省、内務省、陸軍省(今回のケースに直接関係している)が、工事許可を撤回し、必要な調査を経るまで工事を差し止めると共同声明を発表した。
 数日前には会社が雇った民間警備員からペッパースプレーと犬をけしかけられ、今日も今日とて道路沿いをナショナル・ガードに警戒監視されながら、「冷静に」「祈りとともに」、権力の側があざとく期待しているようではない私たちの行動を、と呼びかけ、大きな転換点をみんなで乗り越えようと頑張っていた、そのような中で駆け巡った「オバマ政権が工事を差し止めた」のニュース。いくつか上がっていた当事者たちのコメントは「まだ終わっていない。完全阻止まで闘いはこれから」というものだった。

 日本語で読める、昨日までの背景をまとめたものとして以下ふたつ上げておきます。
デモクラシーナウ・ジャパン2016年9月6日
「パイプライン建設に先住民が抗議の座り込み  環境正義問題へと発展」『気候変動の向こう側』blog2016年9月6日
画像の美しいポスターはお馴染みシルクスクリーン集団justseedsから。
http://justseeds.org/graphic/solidarity-with-standing-rock/
他にも、沢山の人びとが、結節点を沢山つくってキャンペーンを工夫しながら展開している様子が伺えます。

みんな頑張ってるんだ。まだまだ、これからなんだ。よーし。

と、思った。
 遠くの可哀想なことだ、と眺めるだけの立ち位置からは、あっちのほうが酷い、こっちはまだまし、あっちは羨ましい、こっちはどうして、などというコメントしか生まれてこないかもしれない。
 でも、報道のなかに映し出された、ブルドーザに対峙するかれらの姿は、私たちと同じ経験を直観させるものだ。我が身に引き比べて苦境や悲惨に優劣を付けるのではなく、理解を共有できるという歓びのほうが大事だと思った。なぜなら私たちは、ここから、「高江も辺野古も沖縄も頑張ってるよー」と、あそこに声を返すことが出来るのだ。救済の手を差し伸べる優越ではなく、共に闘いの地に並び立っている。
 運動を横に開いていく。それはとても重要だけれども、まだ充分に説明されていない。高江の座り込みから台湾のタオ族とのドキュメンタリ映画を通じた交流のなかで、仲村渠さんが次のように書いていたのを思い出した。

「やはり南に視線を放つ視座と思考の回廊は、日本ー沖縄の非対称な関係の近現代を貫く時間の中で植民地主義に取り込まれて、一つ身に被害加害が渾然と織り込まれた沖縄人が南方の他者を呼び込み、思い入れの沖縄アイデンティティを鎧う殻を内破して、アジア民衆に開いて行くために必要だと思う。」仲村渠政彦「高江にすわる」『けーし風』第90号(2016年4月)。

 私たちは運動という視座と思考の回廊で、つながりを横に開き、そして縦にもつなげて行きたい。ここで縦とは、上意下達のタテ社会のことではなく、時間軸という意味で使ってみた。過去の運動の知恵に学んだことを今日に活かす、それが将来への継承になる、というようなことを考えてみたいからだ。

 戒厳令で道路と山を封鎖され抗議がごうごうと渦巻くなかを、「日常生活が滞った」として迷惑に思う人びとの声が、抗議者たちに責任を負わせるように報道されている新聞記事を読んだ。

 「迷惑だ」。
 
 デモやストをめぐって街頭の声としていつも報道される言葉だ。この種の報道に出会うたび、普通の住民はこういう風に考えるものだという「ものさし」を押し付けられているようだと思う。「迷惑」とコメントする風潮は、メディアが繰り返し報道することによって作り上げてきた枠型だと思う。メディアはそういう「普通の人びとの声」を待ち構えていて、ちょっとでもその雰囲気を嗅ぎ付ければ「それきた!」とばかりに取り上げる。普通の人は反対しても抗議行動にまでは至らない。デモンストレーションのほうが迷惑だと感じるものだという前提で取材するのだ。つまり、「迷惑」という言い方が権力に向かわないのは、そもそも「迷惑」という言葉は、メディアが、抗議する人に責任を方向付ける言葉だからだと思う。
 そのように理解した上で、事態を傍観することもできないやんばるの集落から「迷惑」という声を取り上げるのはとても残酷ではないだろうか。結果として、日本政府を大いに満足させたに違いないと思うとなおさら悔しい。ただ、メディア批判だけで終わらせればすむことでもないとも思う。
 
 そこで、横に開く、縦につなげる、を多くの参加者に考えてもらいたい。

 闘いを世界に横に開いてみれば、座り込み、キャンプを連ねる沖縄の闘いは、多くの人びとの賛同を得られるものだとすぐに判る。権力者を通さない道路封鎖なんてもはや世界標準。そして、沖縄のほんの少し前を振り返れば、抗議が迷惑ではない事例は枚挙に暇がない。

 31日国頭村での実弾演習は国頭村民を中心とする約七百人の阻止行動にあい、米軍は一発の空砲もうたずに運び込んだばかりの兵器や資材をヘリコプターで運び去り、演習は文字通り不発に終わった。・・・[中略]・・・31日、国頭村の各部落には夜明け前の午前五時から六時にかけて戦いのサイレンや鐘が鳴り響いた。冷たい小雨まじりの北風が吹きすさむなか、雨ガッパ、長ぐつで身をかためた婦人や男たちが弁当片手に公民館へ。集まった人たちはほとんど無言のまま、顔をこわばらせ、戦う以外にないといった思いつめた表情。楚洲では、午前六時から小中学校の生徒たちが公民館前広場に集まり新城正紀君(中二)の司会のもと、二十七人の中学生が「部落全体で阻止するというよいことだから僕たちも参加させてほしい」と訴えて参加した。仲宗根記者「緊張で明けた71年」『沖縄タイムス』1971年1月3日。

 1970年大晦日から正月を、演習場の発射地点と着弾地点に別れてキャンプし、実弾演習を阻止した伊部岳闘争の様子を、沖縄タイムスは上記のように報道していた。子供だって子供コンヴァージェンスで話し合って行動を決めてたんだぜ。阻止するというのは「よいこと」だったんだぜ。
 画像左の写真は、写真家の大城弘明さんが捉えた当時の一コマ。「阻止闘争に参加した安田や楚洲の中学生たち1970年12月31日」というキャプションが添えられていて、タイムス仲宗根記者のレポートの内容と呼応していることが判る(大城弘明さんの写真集は出版されているので、他の記録も含めぜひ手に取って見て下さい)。

 写真が青いのは、辺野古の座り込みテントに展示されていたものだから。写真がブルーシートを通した陰影に染まっている。辺野古でも、高江でも、座り込む沖縄のある年齢層の人びとは、伊部岳闘争のことを想いながら21世紀の座り込みを闘っていることが判る。その人びとは今回のヘリコプターによる資材搬入を、どのような気持ちで睨み据えただろうか。その想いを、座り込みの現場を通して次の世代にぜひとも継承して欲しいし、改めて、過去の力を借りて、地域のコミュニティにも開いて欲しいと願う。

 もうひとつの今日に召還したい大切な過去は、CTS闘争のときの「援農」のジンブンだろう。交通渋滞に一緒に巻き込まれた生産者たちを前にして、私たちは、抗議は正義で当然のことだという鉄面皮の空気、鎧を身にまとっていないだろうか。暮らしを守る闘いは、こんなにも長期化して、事実として暮らしを壊しているというのに。
 金武湾を守る会は「海と大地と共同の力」がキャッチコピーだった。多分、「闘いのために暮らしを壊すのは本末転倒」と考えていた、この守る会に集った人たちは、農家を支える「援農」にも取り組んでいた。その時のジンブンを今日の高江に呼び戻せないものだろうかと思う。砕石のダンプを止め機動隊に掴まれ仲間を取り返しに行くのと同じ勇気と情熱で、農家の通行優先を叫び、種を蒔くのを手伝い、「一緒に反対しよう、スタンディングロック・スーもすごい頑張ってるって。水は私たちの命だからって。本当やね」と語り合う援農を、ここはひとつ、内地から駆け付けているパワフルな皆さんに提案したいと思う。
 どうだろう。
 まだまだ、これからじゃない?

20160909

高江のためにできること>帰ってきた陳情書アクション

ニューヨークのイーストヴィレッジに東村を発見。もう、何を見ても高江を思い出す状態。理由はなんでも構わない、つながりを見つけ、機会を見つけて、高江の側に立つことを表明したい。そういう焦燥感が、ぐわーっとせり上がってきています。

それを具体的なものに落とし込む方法のひとつに「陳情」があったじゃないか。

このところ、国際社会(国連や米国の組織)、NGOなどあらゆる手を尽くしていろんな呼びかけを、みんな、頑張った!と思う。ここでひとつ基本に返って、一票を投じた代表政治に、実際に動いてもらう呼びかけをすることも忘れないでおきたい。投票した後、議員を放置してはいけません。具体的にこのことで動いてねと、提言しましょう。

ということで、帰ってきた陳情アクション。4年前の呼びかけ<たかえたいへん、たかえのために県議会陳情編>から、ヴァージョンを上げて2016年版ならではの呼びかけと言えば、提出先は沖縄県に限らないということじゃないか(怒)。

全国から高江に機動隊を送っている自治体の議会に対して、情報公開と説明責任を要求、機動隊警察を派遣しない要求を提出→議会を傍聴して結果を多くの人に伝える。すでに他府県で始まっている高江を支える市民のアクションは、陳情を通じても、その機会をつくることが出来ます。

また、米国の地方都市議会でも反対決議を上げるくらいなんだから、日本中の自治体は、日本政府がいう「国防」のために酷いことになっている沖縄、高江、辺野古、伊江島のために工事反対・米軍撤退決議を上げることに何のフシギもありません。それがないのは、提案する有権者がいないからだけじゃない?ぜひやってみましょう!

●個人でよし、仲良しグループからでもよし。たしか日本は(まだ)主権在民の国だったはずだから、すべての人に陳情の権利がある。こどもだってできる。
●沖縄県では「日本語で」出してくれという条件が付いてた。他府県ではどうでしょうか。外語で書いたって、翻訳者の協力を募ればいいさー!。コンヴァージェンスの場は、仲間や助けを募る場でもある。作業を協働するのは、一人でやるよりも手間がかかるけれど、その一手間が生み出す拡げる・つなげる効果は、絶大。
●連日の現場に駆け付けることができなくても、これなら、試して損はない。
●現場を体験したならなおさら。自分の体験談を活かす機会になる。

以下は、沖縄県議会に提出するためのまとめです。都道府県や市町村の規定はWebなどでチェックできるから、都道府県別アレンジはみなさんにお任せします。そして「陳情を出した!」という報告をWebに上げると、拡げる・つなげる効果もバッチリと思います。
さっそくやってみましょう!

(1)議会の会期をチェック:出来ればタイミングを逃さずに
 米軍の問題は沖縄県では特別委員会の「米軍基地関係特別委員会」、通称「軍特委」が取り上げる。高江のことは、世界遺産との呼び声も高い生物多様性をを守る闘いでもあるから、環境問題に注目するなら常任委員会の「文教厚生委員会」も関係するよね。
会期が発表されたら、「請願・陳情の締切」をチェックしておこう。
今年の定例議会の日程はここで発表される。お、9月定例議会の日程案がもう出ているね!どれどれ・・・。
請願・陳情締切(特別委員会)は、9月29日(木)
請願・陳情締切(常任委員会)は、その前日の9月28日(水)

(2)請願・陳情の方法はここ、県のWebサイト「あなたの声を県政に」
・「誰でも提出できる」。つまり、住所も年齢も国籍も関係ない。ひとりでも仲良しグループでもOK。
・決まった形式はない。自由っていいにゃー。でも県のサイトにサンプルもあって参考になる。宛先は県議会議長となっているから、議長へのお手紙と心得て書くと、いいんじゃないかな。
・陳情書が出来たら、議会事務局に提出しましょう。
 沖縄県議会事務局議事課
 〒900-8501 沖縄県那覇市泉崎1-2-3
 電話番号:098-866-2574
 FAX番号:098-866-2350

(3)陳情書のコツ:クロヤギメールにしないために
・県議会議員に「こんなの出しました」と一声かけると効果的かも。自分が一票を投じた議員なら、気合いも入るじゃない。連絡してアポイントとって陳情書持って会いに行って見よう!
・関係する委員会の担当議員のリストは以下。
 軍特委の顔ぶれ(座席表)
 文教厚生委員の顔ぶれ(座席表)
会派連絡先(県議会の会派ごとの事務室の電話とFAX)はここ
県議会議員名簿(会派や担当委員会別の記載もあって便利)はここ

(4)陳情書のコツ:何事も先達はあらまほしき。
・高江について住民の会が出して来た陳情の様子は高江blog「要請・陳情」カテゴリーでチェックできる。
・沖縄BDもコツコツとコツを積み上げているよ。沖縄BD「議会陳情」カテゴリー
・すごい気合い入った重厚なものでも、シンプルな主張でもいいはず。ひとつコツを付け加えるとすれば、「具体的な根拠」を添えると効果的だと思う。主張を裏付けるということですね。新聞記事、統計データ、実感をまとめた感想文、比較すべき事例、写真記録・・・。議会議員がじっさいに議論できるための資料、ないし資料を探すきっかけを提供するわけです。
・「高江のことが報道されない」としばしば耳にするけれど、そのとき感じる「報道してほしい」内容をお手紙にまとめると、陳情の書き出しもスムーズになるんじゃないだろうか、と思いました。
・陳情なので、抗議!抗議!モードよりも、県議会に動いて欲しい内容を具体的にピンポイントで挙げるのが判りやすいと思います。
(例えば・・・)
「あらゆる機会をとらえてヘリパッド工事に反対して下さい」
「工事を具体的に止めて下さい」
「法を逸脱して作業を行う業者を取り締まって下さい」
「オスプレイの飛行を禁止して下さい」
「工事中止・飛行禁止を実効あるものにするため米軍・米国に要請して下さい」
「北部訓練場はもう使うなと米軍に言って下さい」
「警察の無法を止めさせ、すでに起こった事実を検証して下さい」
「警察による県道の封鎖を許さないで下さい」
「やんばるの森を壊さないため、ヘリパッド工事を県条例アセスの対象にして下さい」
「森を細かく切り刻まず、全体としてのやんばるを保護の対象にして下さい」
「高江区の苦境に耳を傾けて下さい。住民も反対しています。」
「小さい村でものびのびと反対を主張できるように環境を支援するのは県政・県議会の責務です。」
「弱い地域に基地の重圧を押し付ける構造から解放する施策に取り組んで下さい」

・・・言い尽くせないほど沢山の酷い状況がある。でも一人で全てを言い尽くそうとしないでも大丈夫。みんなが声を上げてくれると思えば、それに信頼を託すことができます。

(5)陳情書のコツ:フォローアップ
・本会議も委員会も傍聴できます。ぜひ傍聴しましょう。じっさいに自分の提出した陳情がどのように取り扱われるのか、見て聞いて確認するのは、次のアイディアに繋がります。
・傍聴者の姿は、関心の高さとして、議員に、そして県執行部、県庁職員にも、直接伝わります。
・陳情が具体的であればあるほど、「継続審議」として残っていきます。一回出して決議されなくても無駄にはなりません。

さて。いかがでしょう。
まだまだ高江のためにできること、沢山あります。
まだまだ、これからなのです。




Facts about TAKAE>Accidents in and around NTA

Here is a long history of accidents only in and around USMC Northern Training Area in Okinawa.  Imagine how many more troubles have been left unacknowledged as "accidents," for example, serious noise and low frequency waves, or marching and training along the prefecture road is not officially counted in.

Are these not enough for you to understand the people of Okinawa saying "enough is enough," ? 

Original post in Japanese is here.
Accidents in and in the vicinity of the Northern Training Area (-2016)
Date Summery
August 26,1964 In the counter guerrilla warfare training area in Arakawa (Takae, Higashi Village), the US Marines demonstrated the simulated counter guerrilla warfare while the Watson USCAR high-commissioner was watching it. Twenty residents of Arakawa including the infants, females were mobilized and played as South-Vietnamese. (Chinen)
January 3, 1971 A planned live-firing at Mt. Ibu in the vicinity of Ada, Kunigami Village was stopped by the residents’ direct actions and sit-ins in the training areas.(Times)
August 2, 1973 CH-46 helicopter crashed down around the top of Mt. Iyu. Three crews died, one missing. 
August 8, 1973 CH-46 helicopter touched the high-voltage power line near the seashore of Aha and made an emergency landing on the crop field, 300 meters from Aha residential area. The damage of the power line caused a three-hour blackout in whole areas of Kunigami Village.
June 24, 1975 CH-46 helicopter touched the rope of the Aha dam construction site during the flying training. It crashed on the site, three crews died. 
November 9, 1977 CH-46 made an emergency landing on a private pasture in Kanna, Ginoza village because of the engine trouble along the flight route to the NTA. 
February 27, 1980 Live-firing training with TOW anti-tank missiles and the setup of the impact zones in the NTA was under discussion between Japanese and US government, according to a testimony of the United States Senate Committee on Armed Services. Okinawa prefecture strongly protested against this plan on June 4. Okinawa prefecture and Marine Corps in Okinawa agreed with the direct negotiation in addition to the US-JP consulting committee.
December 19, 1980 CH-46 helicopter touched the log-carrying wire and crashed on the construction site of the Aha dam. One crew died, two severely injured. 
January 31, 1982 US soldier fired a blank cartridge outside of the military facilities in Aha, Kunigami village. 
July 12, 1985 During the formation flying, a CH-53D helicopter crashed on a logging road near the Benoki dam. Four crews died. 
September 20, 1986 CH-46 helicopter made an emergency landing on a farm road in Aha, Kunigami village due to the inspection. 
January 16, 1987 Residents protest against the US military Harrier-pads near the Aha dam, stopped it with direct action. (Times)
May 16, 1987 During the fligt training in the NTA, a CH-46 helicopter made an emergency landing on a farm road in Ada, Kunigami village due to the engine trouble. 
July 11, 1987 AH-1J helicopter made an emergency landing on a pasture in Sosu, Kunigami village due to the transmission oil leak.  
September 21, 1987 During a training, USMC helicopter accidentally dropped a signal light outside of the NTA, caused a wild fire in the prefectural center for breeding dairy cows, burnt 37square meters.
June 4, 1988 During an unbush training in the NTA, tear gas leaked outside to the prefecture road #70, civilian passers-by in their cars claimed aches in their eyes and throats.
June 21, 1988 USMC conducted two-day raft training with floating piers at a North cove of Fukuji dam. Okinawa prefecture demanded the halt of their training on the site of water reservoir. US military announced "training would be suspended as long as they find the substitute location".
October 31, 1988 Two CH-46 helicopters crashed during convination flight training, one down in flame in the Eastern forest of Mt. Iyu, killing four crews.
December 10, 1989 U.S. soldiers dumpted lation remainings, batteries, and injections outside the NTA near upstream of Benoki dam.
October 26, 1992 A forest fire took in place because of the signal flare.1,132 square meters lost.
October 28, 1992 A forest fire took in place. 1,655 square meters lost.
April 19, 1999 CH-53E helicopter crashed offshore of the NTA. Four crews died. 
August 11, 1999 UH-1N made an emergency landing on the Higashi village public ground.
May 23, 2000 Marine soldiers entered a land development area out of the military facilities by mistake and shut the paint training bullets there. 
July 23, 2000 Marine soldiers disposed of the garbage in the government-owned land out of the military facilities by mistake. 
October 11, 2001 A MH-47 helicopter belonged to the Daegu base, South Korea made an emergency landing on the pasture of the the prefectural center for breeding dairy cows in Ada, Kunigami village. 
November 9, 2005 HH-60 helicopter belonged to Kadena airbase made an emergency landing on the seashore of Kunigami village.
January 5, 2007 1,500 paintball bullets discovered at the Fukuji dam, confirmed as those of the U. S. Marines. U.S. Until March, more than ten thousands paintball bullets and flares continuingly found and recovered at the Fukuji and Arakawa dams.
December 23, 2010 U.S. military helicopter allaged to houver very low and blow off a civilian tent, damaged poles and chairs, blew off sighn bords in Takae, Higashi village. US military denied the fact.
September 6, 2011 A high ranking U.S. official spoke out about the test spraying of the military deforiant for the use of battle field in the NTA and srrounding area between 1960 and 1962, as the newspaper reported. U.S. officially replied there were no record corroborating the facts. (Times)
October 29, 2013 Two U.S.-made portable toilets dumpet inside the NTA, at the location of the helipad construction. (Times)
March 17, 2014 U.S. Department of Veterans granted compensation to the former service member in Martch 2013, who claimed to tranport and spray the defoliant in the NTA, newspaper reported. (JM)
March 17, 2014 U.S. Navy MH-60 helicopter landed at a newly constructed landing zone before officially provided. USFJ commented it happened "unintentionally". (Times)
November 21, 2015 Convoys of USMC heavy-duty trucks used a farm road in Takae, caused the local-owned car running off, damaged plants, banks of the fields along the road. (Shimpo)
Main Source: Okinawa Prefecture, Okinawa no Beigun Kichi (March 2013) http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/documents/1kaiheitai.pdf
Other sources,
 - Local newspapers, Okinawa Times (Times) and Ryukyu Shimpo (Shimpo)
 - (JM): Jon Mitchell, Agent Orange on Okinawa  http://www.jonmitchellinjapan.com/agent-orange-on-okinawa.html
 - (Chinen): Chinen Chuji, Taiga no nagare to tomoni (Naha, Okinawa: Akebono Shuppan, 2008).

*Local newspaper clips which covered a part of these accidents, see,
Chuy san's blog posted on Aug. 2, 2012.
http://blog.goo.ne.jp/chuy/e/c9778722fb100de5830f20c5f58f62b8

20160908

TAKAE Weekly Special Convergence! 水曜・土曜は総行動の日

Join us!
TAKAE Weekly Special Convergence !
on Wed. & Sat. !
  熱帯収束帯【ねったいしゅうそくたい】熱帯付近の気圧帯、ハリケーンや台風の生まれるところ。
  Convergence 【こんう゛ぁーじぇんす】組織・規模を問わず集合する時点・地点を持つこと、そのような行動。


高江では、水曜日と土曜日を総行動の日と位置付けて、多くの人びとに現場への参集を呼びかけています。抗議・工事阻止の非暴力直接行動は24時間体制で、いつでも参加が歓待されますが、特に集中する日を定めるこの方法は、辺野古の経験から育まれました。新たな参加を促し、裾野を拡げ、座り込みの毎日にリズムをつくり、息長く行動をつなげてゆく技術のひとつになっています。

 集まることは「権力」がもっとも嫌うことです。権力の目から見れば、管理統制できないモブにしか見えないから。しかし、集まることはピープルの大好きなわくわくする時間です。創造的で触発し合う豊穣な空間になることを知っているから。

 高江に大いに集まりましょう!
 大いに集まるところを「高江」にしましょう!

■平和市民バス
・10日(土)アサ5時出発、4時55分までに県議会前に集合。
・那覇IC→名護経由→高江、自動車道沿いバス停での乗降可。途中トイレ休憩アリ。
・ヨル7時ごろ那覇帰着。
・往復1,500円
・必ず事前申込み>城間(080-1782-6598)まで
・弁当・飲み物は各自持参のこと、雨具等も。

■島ぐるみ会議バス
・水・土運行(9月7日(水)、10日(土)、14日(水)、17日(土)・・・)
・辺野古バス(24名乗り)を当面、辺野古ゲート前経由高江行きに。
・参加費1,500円
・沖縄県庁前の県民広場9時出発(受け付け8時30分から)、申し込み不要、先着順。
※17日以降の運行については今後の情勢に合わせて検討ということなので、今後も島ぐるみに高江バスをお願いしよう!毎日バスをお願いしよう!(*^-^*)

■うるま市島ぐるみ会議高江バス
・毎週水曜日に変更(さすがうるまぐるみ!)
・集合時間 与那城庁舎前 5:20 うるま本庁前 5:40 石川庁舎前 6:00

■辺野古浜通信>「高江・辺野古行動と連帯のために」
http://henoko.ti-da.net/e8923972.html
様々な場所で連帯のコンヴァージェンスが増殖中。辺野古浜通信が一覧にしてくれているので、地元の取り組みをチェックできる。あるいは自分でコンヴァージェンスを企画したら、浜通信に連絡しよう!いろんな企画を集めて並べて眺めて見ると、次のアイディアが浮かんでくるかも!

■写真はイラク反戦退役兵の会IVAWの集まりで展示されていた作品のなかに見つけた沖縄つながり。こんな風に思いも寄らぬ出会いと派生を生むから、人びとが集まるのはドキドキでワクワクなんだと思った。Join us!というのはこの絵の作者に高江で教えてもらった大切な兵士たちへの呼びかけの言葉です。
 上意下達の命令で集められた軍隊(機動隊)こそは、理性を殺して間違った命令にも従うか、指揮命令がなければただの愚連隊になる危険な存在です。
 自分たちの気持ちで集まる人びとは、変幻自在に集合して、想像力に従い、大いに語らい、ケアを行き届かせる存在です。こっちに参加したらいいさー。楽しいよ!


NGOが国連人権委員会に声明を提出、しかしその後も「のけぞり公妨」に悪化

NGOヒューマンライツ・ナウによる、国連人権委員会へのアクション。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、2016年9月13日からジュネーブで開催される第33会期人権理事会に向けて、声明「沖縄県における米軍基地問題に反対する平和的抗議活動に対する抑圧と琉球/沖縄の先住民族の権利の侵害」を人権理事会に提出しました。

とのことで、サイトから提出された原文PDF(英文)をダウンロードできます。

”Suppression of civilians peacefully protesting US military bases in Okinawa, and violations of the rights of the Ryukyuan/Okinawan indigenous people”/ Written Statement submitted to 33rd Human Rights Council session.
http://hrn.or.jp/eng/news/2016/08/30/suppression-of-civilians-peacefully-protesting-us-military-bases-in-okinawa-and-violations-of-the-rights-of-the-ryukyuanokinawan-indigenous-people-written-statement-submitted-to-3/

これに翻訳を付けてこちらで紹介したいと思っていたら、すでにありました!「あべこべな世界で逆立ちするとなにが見える?」さんのtumblerから、以下に一部を転載します。tumblerを下に送っていくと、国連を現場とするこれまでの経緯を辿ることができます。ナルホドいいね!と思ったら、上記のリンクを英語圏の友人たちにぜひ伝えましょう。

・・・村民160名余の村を現在500ないし700名の機動隊が高江を包囲し、建設現場ゲート前に座り込む市民の身体を掴んで拘束し、実力で排除する暴行を繰り返している。その過程で複数の市民が機動隊に首を絞められ、72歳の女性が頭を打ち打撲で病院に搬送させられるに至っている。さらに、機動隊の有形力の行使にわずかに抵抗しただけで不当に逮捕・拘禁される者も相次いでいる。
 さらに8月20日、機動隊は、東村高江での抗議活動を取材していた地元新聞社の記者の両腕を二度掴んで、背中を押して40メートル移動させ、停車させていた機動車両の間に押し込み15分ほどその身体を拘束した。
 こうした過剰な有形力の行使は今も日常的に続いており、無抵抗の市民の生命・身体に著しい危険をもたらし、市民の抵抗の権利を侵害している。

この報告の後も、高江での事態はますます深刻化し、「のけぞり公妨」にまで悪化しています。解放されたとのこと、本当にヨカッタ。みんな一緒に怒っています。そして、この「のけぞらせて公務執行妨害」を英語にどうしても翻訳できずに困っているところです。新報さんが英語記事にするのを待つか。(英語に限らず)翻訳できないというのは、国際社会に対してまともに説明できないというひとつの基準だと思っています。というか、日本語でも説明できません。非暴力市民にのけぞってしまったのが悔しかったのでしょうか、ケーサツ。その後の女性ドライバーへの態度は逆切れですか、男性警官による見せしめ的身体検査ほど酷い人権侵害はありません。これを許すことは出来ません。
 新報とタイムスの苦肉の報道を以下に記録しておきます。

「警察官を後方に退かせる暴行を加えたとして、公務執行妨害の容疑で女性を逮捕した。」『琉球新報』2016年9月7日。
「男性警察官(38)をのけぞらせたとして、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。」『沖縄タイムス』2016年9月7日。


※タイトルの漢字を間違ってしまうというミスあり・・・「公妨」に訂正しました(汗)。ご指摘有り難うございます。

ジョン・ミッチェル高江報道その2「人権侵害にも知らぬ存ぜぬの米国」

 ジョン・ミッチェルさん、2016年高江報道の第2弾です。
 日本には「足を洗う」という言い方がありますが、タイトルは、米国は自分たちだけさっさと手を洗って知らん顔、という意味だと考えてこんな風に訳してみました。米国の「我関せず」という態度こそが、かれらが深く関わっていることの証左であると、具体的な事例を挙げながら説明しています。
 オリバー・ノースとは、イラン・コントラ事件に関与した人物の名前。枯れ葉剤問題や英国軍の演習、海兵隊員の研修など、これまでの取材を結び付けつつ、歴史に照らしつつ、米国市民の側から、高江の問題を見るよう促す内容となっています。
 高江を思う多くの米国の友人たちに読んでもらえるよう願います。

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ジョン・ミッチェル「沖縄ヘリパッド予定地の人権侵害に知らぬ存ぜぬの米国」『ジャパン・タイムズ』2016年8月31日。
(原文)Jon Mitchell, “U.S. Washes Hands of Rights Violations at Okinawa Helipad Site,” Japan Times, August 31, 2016.
http://www.japantimes.co.jp/community/2016/08/31/issues/u-s-washes-hands-of-rights-violations-at-okinawa-helipad-site/#.V9BKy5PhCRs

[写真キャプション]
YouTube動画「高江で日本の機動隊に対峙する村の人びと。撮影:ジョン・ミッチェル」
写真1「ヘヴィ・プレゼンス(駐留軍の重圧):沖縄北部、ヘリパッド建設が進む米海兵隊北部訓練場、フェンス外側に立つ民間警備員の背後で、フェンスの内側から米軍兵士が見ている。撮影:ジョン・ミッチェル」
写真2「オーヴァーキル(過剰動員):ヘリパッド建設地を警備するため抗議行動に投入された日本本土からの数百名規模の機動隊員。撮影:ジョン・ミッチェル」


 米国務省は、国外での人権促進の任務も司る連邦機関であるが、沖縄北部で米海兵隊のヘリパッド新設を強行する東京[日本政府]の強引な手法を批判することを拒んだ。
 7月以降、日本政府は東村高江区に警察の大規模動員作戦を執行し、少なくとも5名の抗議行動参加者が病院で治療を受け、報道の自由を侵害し、翁長雄志知事や、マスコミ労組、地元住民からの非難を浴びた。
 負傷者と報道記者の排除についてコメントを求めた『ジャパン・タイムズ』紙に対し、国務省は、日本政府と米国防省に問い合わせるようにとした。アナ・リッチー=アレン東アジア・太平洋局担当報道官の回答は、質疑とは無関係の定型文言によるものだった。
 同様に、米海兵隊のジョージ・マッカーサー渉外担当官も、権利侵害の疑いに関するコメント依頼を却下した。在沖海兵隊もまた、ヘリパッド建設について『ジャパン・タイムズ』紙によるインタビュー依頼を拒否した。10日前の依頼であったが、マッカーサーの却下理由には「ショート・フューズ」[気が短い]だとあった。
 8月25日、翁長県知事は、日本本土から数百人の機動隊を投入した日本政府を「過剰だ」と批判した。また、日本新聞労働組合連合は現場で報道する記者に対する妨害を「国による報道の自由の重大な侵害」と指摘した。
 高江に隣接している米海兵隊北部訓練場は、キャンプ・ゴンサルベスの名でも知られている。7800ヘクタール(1万9千エーカー)という広大なジャングル戦闘訓練センターは、1957年に設置された。オリバー・ノースが指揮を執ったこともあり、有毒除草剤のエージェント・オレンジの試験現場となったという退役兵の証言もある、そのような訓練場である。
 近い将来、ワシントンはこの基地用地の半分を返還するよう計画しているが、それは6基の新しいヘリパッドを高江周辺に建設するという条件が満たされた場合に限られる。村民の反対にも拘わらず、75メートル大の着陸帯のうち2基が完成し、今や、ヘリコプターとオスプレイを用いた昼夜を問わない海兵隊の訓練飛行に使用されている。6月に沖縄防衛局は、高江住民が一晩に十数回もの航空機騒音に曝されていたことを記録していた。
 高江のヘリパッド建設は、沖縄島全体で米海兵隊を統合するという東京[日本政府]による計画のなかの一部分に過ぎない。
 二つの滑走路と深い軍港を名護市キャンプ・シュワブに建設する計画のほうは、現在、国と県との間で行われる厳しい法廷闘争に焦点化されている。ワシントン[米国政府]は、キャンプ・シュワブ付近に新基地が完成すれば、宜野湾市にあって老朽化した普天間飛行場から海兵隊を移駐させる計画だ。しかし、日本政府は法廷闘争が長引くことを予想していると見て、普天間の施設改修に数億円の費用がかかるだろうとの認識を示した。
 さらに沖縄で、日本政府は、オスプレイとF-35の配備に備え、沖縄北部近海の小島、伊江島の米海兵隊補助飛行場の施設改修に着手した。
 「日本政府はいつも沖縄の軍事的負担を軽減すると言うが、現実は正反対だ」、伊江島住民で地元の平和ミュージアムを運営するメンバーでもある大畑豊は言う。大畑は、島の基地建設と、最近あった海兵隊による民間港利用についても語った。
 大畑によれば「伊江島議会も地元区も、新しい軍用施設に反対の決議をした」「だが、政府は私たちが何を言おうと声を聞き入れないのです」。
ワシントンと東京は、高江、名護、普天間、伊江島の建設事業が、最終的には島のその他の土地返還を可能にするものであると強調している。
 だが、多くの沖縄の人びとは、米海兵隊によるこの島の使用はこの先数年で拡大するだろうと見ている。米海兵隊が英国海兵隊の2名の中尉をキャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、沖縄中部で訓練していたことが最近明らかになり、懸念は高まる一方だ。このプログラムは、日本政府は現在調査中というが、長期に及ぶ日米安保条約の解釈に違反している。在日米軍基地における第三国の訓練は認められていないのである。
 4月に元海兵隊員を容疑者とする地元女性殺害事件があり、新人海兵隊員向けの研修が島の住民と政治指導者を毀損する内容だったことも判明し、米海兵隊に対する沖縄の怒りは沸点に達したままである。今週火曜日、読谷村の女性宅に押し入ろうとした容疑で、米海兵隊の軍曹が逮捕された。5月には沖縄県議会で、沖縄からの海兵隊基地の全撤去という、前例のない決議が通過した。
 6月、米国駐日大使キャロライン・ケネディは、海兵隊に対する地元の怒りを直接経験している。第71回目を迎える沖縄戦終結祈念式典訪問の際、ケネディは、キャンプ・シュワブの地元交流イベントに参加した。退出する間際、彼女の車列は抗議行動者たちに阻止され、警察の強制排除によらねば出発が出来ないという事態となった。
 この事件に対するコメントを求められた那覇の米国領事館は、『ジャパン・タイムス』紙に対して、「私たちは一貫して個人の表現の自由と平和的な集会を支持するものですが、施設への出入りを妨害したり日本の法に違反する者があれば、日本政府の法執行機関が必要な措置を取るよう求めます」と回答した。
 ケネディのキャンプ・シュワブ訪問という判断は、米国は、普天間飛行場移設のため隣接する湾を埋め立てるという東京の決定を支持するというサインを送る狙いがあったことは明らかである。だが、訪問の場所とタイミングは、多くの沖縄の人びとに、よく言っても無神経、悪くすると扇動的との印象を残した。
 ケネディ訪問の三ヶ月前、キャンプ・シュワブ駐留の水兵ジャスティン・カステヤノスが、那覇のホテルで女性をレイプし逮捕された。ケネディ訪問は、その上さらに、沖縄戦の生存者の傷口に塩を擦りつけたのだ。キャンプ・シュワブは、かつての大浦崎収容所があった場所であり、戦争の後で沖縄の人びとが収容され、約300名の民間人の遺骨が駐屯地の地中に埋まったまま、家族も遺骨収集組織も近づくことを許されないままの場所なのだ。
 在沖海兵隊に対する人びとの怒りの高まりを受けて、米軍は最近、ネット上の広報活動で幻惑しようという攻撃手段に出た。6月、在日米軍は、ソーシャル・メディア上で「今週の事実」(Fact of the Week) キャンペーンを立ち上げた。その最初の投稿は、在日米軍の4分の3が沖縄に駐留しているという日本政府の統計に真っ向から矛盾するものだった。在日米軍曰く、本当の数値は39%だというのである。
 在日米軍の主張は、かれらが占有している面積ではなく、駐留施設の数に基づいていた。これは翁長知事を驚愕させ、「事実を操作する意図がある」と表した。ネット上の批評はさらに厳しかった。在日米軍の投稿は、いわゆる「ネット・ウヨク」と呼ばれる人びと、匿名の極右のネットユーザーによって広く共有されている間違った噂みたいなものと見なされた。

 ジョン・ミッチェルは、沖縄における米軍環境汚染の調査で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」の「報道功労賞」を授与された。ご意見ご提案は次までお寄せ下さい。community@japantimes.co.jp

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