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20170226

デモクラシー、今。 ダコタ・沖縄・プエルトリコ


 独立系ニュース番組『デモクラシーNOW!』が、三つの「合意してない空間」を同時に捉えて放送した(2017年2月24日番組のヘッドライン)。沖縄の反基地闘争と抗議者の勾留を最高裁が追認したという最新のニュース(冒頭の11分24秒くらいから。英語の報道のなかにはまると、日よけのタオルが「ヤマシロ議長かアラファト議長か!」みたいな風貌に見えてちょっとウフフとなる)、プエルトリコ大学闘争(沖縄のニュースの後。これもぜひ見て欲しい)、そしてダコタ・アクセスパイプライン建設阻止闘争についても目下の抜き差しならない経過を報告している。

 それぞれの場所で、みんな頑張ってるかーい!と互いに声を掛け合っていきたい。
 なかでもプエルトリコ大学闘争は、2009年「るー大占拠」を支援した合意してないプロジェクトとしては大いに賛同し熱い支持を送りたいもの。今後も注視したいので詳細を後述する。

 ところで、抑圧を受けている側のやり方が悪いと帰責するようなメッセージを発信する日本のマスコミ報道(と、それを反復=増幅する報道)にはイラっとくるけど、こうしたピープルの声をネグるアメリカの政治のほうがサイアク!なのであってだね。そこは間違っちゃいかんよ。『デモクラシーNOW!』はそうしたアメリカ民主主義のほうの危機に警鐘を鳴らす役割を果たしている番組のひとつ。アメリカの草の根に向けて三つが並べて報じられたことは重要だと思う。

さて、沖縄では2月24日に抗議者たちを解放せよの裁判所前集会と、その後のマーチ。途絶えない人の列が続いている様子が、ちょっとこの写真では判りにくいですケド・・・。
山城議長釈放を要求 市民ら、那覇地裁構内でも『琉球新報』2017年2月25日 06:30。
<社説>山城議長保釈棄却 「政治弾圧」批判に背く『琉球新報』2017年2月25日 06:02。
「ヒロジを返せ」怒りの人波、裁判所に 基地反対リーダー釈放求める集会 沖縄『沖縄タイムス』2017年2月25日 。16:09。
基地反対リーダーはなぜ勾留され続けるのか 沖縄、これまでの経緯『沖縄タイムス』2017年1月27日 21:40。→流れがよく判るまとめ記事、必見ですが、有料記事かな。

 沖縄の抗議者不当拘束のニュースに続いて取り上げられたのが、カリブ海の米国領プエルトリコ。プエルトリコ大学の予算削減をめぐってごうごうと抗議の渦、という件。DN!の動画からも様子が伺えるし、さっそくyoutubeに上がっているこの動画は、参加した人たちの気分もよく捉えていると思う。

当日の様子は、以下のハッシュタグなどで、沢山のtweetやinstagramの投稿を見ることが出来る。
#manifestaciónupr
#11recintos1upr

 カリブ海は日本中心の地図で見ると端っこに押し潰されて描かれてしまう。プエルトリコは四国の半分くらいと、案外大きな島だ。プエルトリコ大学はその各所に、11校のキャンパスを持っている。デフォルト後の財政再建を管理する「委員会」が(プエルトリコは連邦州ではないので投票権がないにも拘わらず)米国連邦議会の下に設置され、財政自治を奪う植民地主義だとの批判が高まるなか、この委員会からプエルトリコ大学へ3億ドル削減の要請がなされたのが、今回の抗議の発端。

 「今回の」というのは、最も最近では2010年から11年に起こった闘争の活き活きとした記憶を、大学コミュニティが共有しているからだ(英語版のwikipediaに解説頁があった!)。また、先のyoutube動画の最後部分にも見られるが、11箇所のいずれも、削減してよいキャンパスはない、という精神が随所に見られる。整理統合という現実的な危機の反映でもあるけれど、規模の大小はあっても、それぞれの地域の高等教育を支える重要な役割があると、都市部のキャンパスからも声を上げているのだ。そして大人も子供も、地域の人たちも大学コミュニティの一員として参加している。学生の主体性を大切にしつつ、島ぐるみで抗議に参加している感じがある。抗議の源には怒りがあるのだが、それを表出すること、行動に参加することへの歓びが充満している。

最も規模の大きなリオピエドラス校では、2月22日(水)に学生総会が開かれ、圧倒的多数の賛成投票で、23日(木)・24日(金)の48時間大学閉鎖 (paro) が宣言された。教職員の労働組合は学生の動きを支持しており、直前の昼に、大学を象徴する時計塔の下に教員団が集合し校歌を大合唱(!)、学生たちへの共闘を表明し、「やるぜ!」的な空気で学生を後押ししていた。

 こうして23日に、首都サンファンの議会議事堂前で「プエルトリコ大学防衛宣言」を発表するため、各地に分散している大学コミュニティが大結集した。これを記録したのがDN!やyoutube動画だった。

 ところで学生総会の決議を受けた大学当局は、23日・24日の両日を「休業」 (receso) にしてしまった。全体で11校中8校が「休業」となり、23日の首都行動への参加を大学側が「保証」したかたちになったわけで、そりゃー盛り上がらないはずない。

その頃、リオピエドラス校のキャンパスは全ての門が学生たちによって閉鎖され、以後48時間、学生の自主管理下に置かれていた。ストライキとロックアウトが交錯するような状況かと思ったけれど、きっちりと学生の側が門を閉鎖し、中に入る人を管理していたのが印象的だった。具体的には、実験や研究の継続を保証しつつ、例えばマスコミは中に入れないという決定がなされて、参加学生を守るような取り組みも見られた。

 大きなキャンパスなので門も沢山ある。24日はアイランド・ホッピングならぬ、ゲート・ホッピングに出かけてみた。それぞれ、学生たちが少ない人数で小さなテントを建てて泊まり込み、交替しながら門番、教職員労組はバックアップに回って飲み物や食べ物を運んだりしていた。

 そう。るー大生の占拠や普天間閉鎖の思い出が蘇ってきて、無条件に嬉しくなってしまう光景なのだ。

 学生たちはみんな、にこにこしていて、参加していることの歓びを語ってくれた。ゲートは全部で6カ所。それぞれのゲートに近い学部の学生・院生が担当していたこともあって、文系や理系、教育学系、ロースクール系、社会学系など、ゲート毎に個性が異なって楽しい。また、各ゲートが「アフィニティ・グループ」のような構成になっていて、上意下達がないか、ないしは拒否していて、良い意味で行き届いていない感じも良かった。

 ひとつだけ写真が欠けているのが、教育学部とコミュニケーション学部に近いゲートで、ここの学生たち(だけ)が、沖縄の反基地闘争のことに関心を持って質問をしてくれたので、つい話し込んでしまい、写真を撮るのを忘れてしまったのだ。残念。

 学生たちからいろいろ話を聞いた。2010年の経験をしている大学院生、あのときは小学生だったけれど今なら意味が判るという学生、総会の決議の様子を見て考えが変わって参加するに至ったという学生、大学当局の迎合的な態度を見抜いている学生、全体の決定プロセスにいまいち乗りにくい感じを覚えている学生、等々。

 ゲート毎に話し合いもあり、その後、総会が開かれ、48時間閉鎖は予定通り12時で解散を確認、門は解錠されることになったようだ。夜はポエット・リーディングやラテン・ジャズなどを囲む温かな雰囲気で、この48時間を分かち合うような集会で幕を閉じた。多くの学生や支援する教員たちが、これをまず第一歩と考えていて、次に向けて気持ちを高揚させている様子だった。多分、それを生ぬるいと感じて一挙に2010年の再来のように長期の行動に向かいたい学生たちもいただろう。多くの話し合いが多様な声を調停し、それはこれからも重ねられ、そのたびに参加の歓びが増幅していくだろうと期待したい。