クイナ氏がノグチゲラ氏の名前を挙げながら指摘したのは、遡ること14年以上前のひとつの声明文のことである。米国の自然保護活動の拠点であるこの生物多様性センターは、すでに2003年には「ノグチゲラを保護せよ」との声明を発した組織だ。
「希少なオキナワ・ウッドペッカーが唯一の住処とするのは、沖縄島の北部ジャングル、日本におけるエコロジーや文化を象徴する場所のひとつだ。ウッドペッカーはつがい数が少なく絶滅の瀬戸際にあるが、これは森の住処の破壊が続いていることが主たる原因なのだ。本種を危機に晒している火急の脅威のひとつは、日米合同の軍事訓練基地のためにウッドペッカーの暮らす最良の森を伐採するという計画だ。
当センターは、絶滅危惧種法による保護の拡大を通じて、絶滅の危機にあるこの鳥のために闘っている。本種は、四半世紀以上にわたり、米国魚類・野生生物局が定める候補リストに留まったままだ。当センターは、この鳥のため実際の行動を起こすよう局に求める2件の訴訟を行っている。また、新たなヘリコプター着陸帯と道路を敷設するため森の伐採を要求する米軍の提案は、オキナワ・ウッドペッカーの主要な棲息域を脅かすものであり、我々は地球上で唯一無二の、生態系的に重要なやんばるの森を守ろうと行動している。」http://www.biologicaldiversity.org/species/birds/Okinawa_woodpecker/(生物多様性センターWebより。翻訳と強調はGPによる)
「オキナワ・ウッドペッカー」とは、ノグチゲラのこと。米国の絶滅危惧種法(Endangered Species Act)で指定される種に加えるべく検討が続いている「待機リスト」20種のなかのひとつが、このノグチゲラなのだ。
生物多様性センターだけではない。世界遺産の認定審査に関与する国際自然保護連合(IUCN)は、2000年以来、繰り返しジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保護を日米に勧告してきた。IUCNのレッドデータで、ノグチゲラは「深刻な絶滅危惧にある」という分類だ。その脅威の原因として、米海兵隊の新たな着陸帯建設が指摘されている。
2016年、依然としてノグチゲラは候補リストに上がったまま、というのが米連邦議会の報告(官報)に出ていた。日本政府は、無計画な森の破壊のために数十億という税金を注ぎ込むいっぽうで、「世界遺産」の名に恥じぬよう、米国の種の保存法にもノグチゲラが登録されるための取り組み、調査と啓発と保護のための効果的な予算を投じることはなかった。
そのような日本政府に、大切な森の保護を委ねることなどできない。「米軍は世界遺産登録の邪魔をするな!」の横断幕は米国に渡って、米国市民から直接、米軍と米国議会に訴えるよう、呼びかける役割の一端を担った。
生物多様性センター声明の言う四半世紀とは、米国魚類・野生生物局が絶滅危惧種法への追加指定を検討せよとの意見書を受けた1980年からの年月を指していた。それからさらに14年。米軍のために森が切り裂かれ、オスプレイの配備で脅威は現実となった。ニンゲンの家族には転居を余儀なくされるものも出て来た。ノグチゲラ氏、ヤンバルクイナ氏の声はついに届けられるか。「正念場はこれからも続く。だが希望も続いている」。クイナ氏はそうtweetした。